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交通事故事件に強い弁護士とは、どのような弁護士なのでしょうか?
東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける弁護士が、詳しく解説します。
交通事故の被害者の方が、重大なお怪我をした時ほど、交通事故の加害者側との示談交渉においての弁護士の必要性は上がります。基本的には、交通事故で骨折以上のお怪我を負った場合には、弁護士に依頼をされた方が損害賠償の金額は上がる可能性が高いといえるでしょう。
ところが、弁護士の知り合いがいる方は多くないため、ご自分の交通事故事件についてどのような弁護士に依頼をすればよいのか、悩まれる方が多いと思われます。
ここでは、交通事故事件について多くご依頼を受けている弁護士として、どのような弁護士が交通事故事件に強いと言えるのか、どのように探せばよいのか、ご紹介させていただきます。
交通事故事件は、多くの法律事務所ではどのような弁護士でも取り扱う事件としてとらえられていますが、これは交通事故の被害者としてどのような弁護士でも依頼をして大丈夫ということではありません。交通事故事件を担当する弁護士に必要な知識としては、①交通事故の賠償についての法的知識、②医療の専門的知識、③医療業界の一般的常識という大きく分けて3つの分野の知識が必要になります。
これらについて、詳しくみていきましょう。
交通事故の損害賠償の計算方法は、裁判所での計算方法を基準として比較的定型的に決められています。
そのため、どのような属性(年齢、性別、職業など)の方であればどのような計算方法をするか、ということは交通事故の損害賠償の基本的な本を読めば理解できます。
これが、交通事故事件が弁護士にとっても比較的取り組みやすい事件であるという理由になっています。
計算方法がある程度定められていれば、それほど事件の経験がなくても比較的簡単に損害賠償の金額を計算することができるからです。
①で書いたように、交通事故の損害賠償の計算は比較的簡単に計算することができます。ところが、交通事故の被害者側の代理人として弁護士が積極的にかかわっていくためには、医療の専門的知識が欠かせません。
それは、交通事故の損害賠償の金額を計算する際に、交通事故で負ったお怪我がどの程度重症か、という点が非常に重要な争点になるためです。
当然のことながら、交通事故で負ったお怪我が重症であれば重症であるほど、損害賠償の金額は高くなりますし、逆にお怪我が軽症である場合には損害賠償の金額は低くなります。
そのため、交通事故の被害者側弁護士は、交通事故被害者の方のお怪我がどの程度重症か、という点について正確な知識と理解が必要になります。この重症度は、後遺障害の「等級」というもので定められています。
後遺障害の等級は、保険会社とは一応独立の機関であるとされている損害保険料率算出機構の調査事務所というところで調査され、自賠責保険が決定します。そして、自賠責保険は損害保険料率算出機構の意見を尊重するのが一般的ですので、基本的には損害保険料率算出機構で出された意見によって後遺障害の等級は決定されると言ってもよいでしょう。
ところが、当然のことながら、損害保険料率算出機構において後遺障害の等級を調査する方は、医療従事者ではありません。医療従事者はそれぞれの資格の養成学校(専門学校、大学)へ入り、資格を取得した後に病院、クリニック、施設などで勤務することが一般的な就職の流れとなるためです。
損害保険料率算出機構には医師の方もアドバイザーとして在籍はされているようですが、交通事故事件の多さ、医師を雇用するコストの点からも、後遺障害の等級を申請される方のうち、ほとんどの方は医療従事者ではない方の調査結果によって後遺障害の等級が決定されると考えられます。
そのため、後遺障害の等級を申請する際には、その申請書類が正確に交通事故被害者の方のお怪我の状態を表していなければなりません。
後遺障害の申請書類には後遺障害専用の診断書が必要で、それは主治医の先生が作成することになっているため、それがあれば後遺障害の等級は正確に審査されるようにも思えます。
ところが、ここで後遺障害の大きな問題が発生するのです。
医師の先生は、怪我の治療の専門家であって、後遺障害の審査の専門家ではありません。
そのため、医師になるための医学部における講義でも、医師になるための国家試験においても、後遺障害の知識は出てきません。それは医師の先生の領域の問題ではないからです。
そもそも、後遺障害の等級の審査自体が、独自のルールを定めているため、後遺障害の等級の認定に、治療の場面では通常必要としない検査を必要とする場合があるのです。
このような状況から、本当は後遺障害が存在するのに、その資料が欠けていたために後遺障害が存在しない、という認定結果が出されてしまうことがあるのです。
そのため、交通事故の被害者の代理人となる弁護士には、医療の専門的知識が必須であり、その知識をもとに、後遺障害の等級の申請時に、その後遺障害の認定に必要となる資料を医師に働きかけて作成してもらう必要があるのです。
そうしなければ、交通事故の被害者の方の後遺障害が正確に認定される可能性が大きく下がってしまうのです。
交通事故の後遺障害の等級が実際よりも低く認定されてしまうと、損害賠償の金額は大きく下がってしまいます。
そのため、交通事故の損害賠償を適切に受けるためには、医療の専門的知識を持つ弁護士に依頼をする必要があるといえるのです。
後遺障害の等級の申請を行うためには、様々な資料が必要になります。
例えば、交通事故の被害者の方が病院でどのような治療を受けたかを示す診療報酬明細書や診断書、医療画像(レントゲン、MRI)などです。
これらの資料は、順調に診断と治療を受けていれば後遺障害の申請の際にすぐに入手することができますが、例えば転院をしたり、治療の途中で保険会社の支払から健康保険での支払いに切り替えたりすると資料が一度に手に入らずに、個別に請求することが必要になります。
その際、診療報酬明細書がどのように作成されてどこに保管されているかなどの病院側での一般常識を知らなければ、資料の入手が難しくなります。
また、後遺障害診断書は医師の一般常識に基づいて作成されますが、前述のとおり、その診断書を見て後遺障害の等級の審査をする方は医療従事者でない場合がほとんどです。
そのため、医学的素養のない方でも交通事故被害者の方の状況が正確に判断できるよう、診断書の補足説明を書いてもらう必要がある場合もあります。
このような場合、医師の先生側からすると不要だと思われる説明を書くことになるので、弁護士としてはそれを踏まえてその説明が必要な理由をご説明して記載していただく必要があります。
ところが、診断書における医療の一般常識を踏まえていないと、そもそもその補足説明が必要なことにすら気づかなかったり、説明が必要な理由を医師の先生に上手く伝えられなかったりして、必要な資料を準備できない可能性があります。
そのため、交通事故の被害者の代理人となる弁護士は、医療業界の一般的常識を踏まえておく必要があります。
では、普通の弁護士は、交通事故事件の知識についてどのように学んでいくものなのでしょうか。
驚かれるかもしれませんが、弁護士になるための大学や法科大学院での講義には、交通事故の知識はほとんどといっていいほど出てきません。
法学部や法科大学院では、
・公法(憲法、行政法)
・民事法(民法、民事訴訟法)
・刑事法(刑法、刑事訴訟法)
という法律の基礎的な知識を学びます。
この他に、税法や知財法など、自身の興味のある分野を選択科目として学びます。
交通事故は法的には民事の不法行為という分野になるのですが、講義で学ぶのは交通事故が不法行為という分野になる、という位置づけ程度です。
その後、司法試験を受験し、それに合格すると今度は司法研修所において司法修習を受けます。この司法修習とは、法曹(裁判官、検察官、弁護士)となるための基礎的知識を学ぶための研修であり、どの職業を志しているかに関係なく、すべての修習生が裁判所、検察庁及び法律事務所で実際の仕事を見て学びます。
この中で、裁判所と法律事務所での研修では交通事故事件について学ぶ可能性がありますが、検察庁での交通事故事件は加害者の刑事手続きが問題になるので、損害賠償の話はでてきません。
そして、裁判所と法律事務所での研修においても、交通事故事件を担当する可能性はありますが、その場合でもそれぞれの研修期間が数か月だけという期間制限もあるため、1つの交通事故事件を最初から最後まで研修することは出来ません。
そのため、普通の弁護士は弁護士登録をして弁護士として働いていく中で、交通事故事件についての知識を学んでいきます。
その中で、上記「①交通事故の賠償についての法的知識」に書いた交通事故の損害賠償の知識は、比較的簡単に学ぶことが出来ます。計算が定型的で、1度計算方法を覚えれば、その型にはめ込んで計算をするだけだからです。
ところが、②医学の専門的知識や③医療業界の一般的常識についてはそうはいきません。当たり前の話ですが、普通の人は人体の骨や筋肉の名前などはほとんど知りません。そのため、弁護士も交通事故事件の依頼を受けて、その方の怪我の内容や後遺障害の等級をみて初めて、例えばこの骨の骨折でこの関節の後遺障害が問題になるのだな、と覚えていくのです。
つまり、交通事故の依頼を受ける件数が多くなるにしたがって、後遺障害についての知識も増えていくのです。
ここまでお読みいただいた方にはお分かりいただけるかと思いますが、交通事故事件に強い弁護士とは、交通事故の後遺障害において問題となる医療の専門的知識をしっかりと理解している弁護士です。
経験が浅く、医療の専門的知識がない弁護士では、交通事故被害者の方の診断書を見て、例えば「〇〇骨の骨折」と書かれていても、その骨がどこにある骨なのかすら理解できないのです。
それでは後遺障害の等級の申請のために適切な準備ができるはずがありません。
ちなみに、交通事故の後遺障害の等級については、1度認定された等級についてそれに異議を申し立てる制度があります。ところが、この制度によって等級が初回の等級よりも重症だと認定される可能性は、開示されている年の件数によれば、5%未満です。いかに初回の後遺障害の等級の申請で正確に認定をしてもらうことが重要か、お分かりいただけると思います。
そのため、交通事故の被害者としては、後遺障害の申請をする前に、医療の専門的知識をもつ弁護士に依頼をして後遺障害の申請のための準備をしっかりしてから申請を行うことが重要になります。
交通事故事件に強い弁護士とは、交通事故被害者の方のお怪我の状況を被害者ご本人からヒアリングして、さらに診断書や医療画像、カルテ等の情報から、どのような後遺障害が考えられるかを想定し、そのために病院側に積極的に後遺障害の申請資料作成のために働きかけができる弁護士です。
さらに、後遺障害の医療の専門的知識を持っている弁護士であれば、主治医の先生に書いていただいた後遺障害の診断書を、申請に出す前に事前にチェックすることができます。
後遺障害の診断書という重要な書類ですから、誤記や誤解を招く表現がされている場合は、それを修正してもらう必要があります。
当然、病院の医師やリハビリスタッフの方も、診断書が重要な書類であることは理解していただいていますが、それでも例えばリハビリスタッフの方の経験不足や、後遺障害の等級の認定の際に特別に問題になる表現などによって、修正が必要な場合がみられます。
当事務所の弁護士が担当した交通事故事件においても、後遺障害の診断書で修正をいただいた事例は数多くあります。おそらく、そのまま診断書が出されていれば、後遺障害の等級が認定されなかっただろうという件が複数件あるのです。
後遺障害の等級の申請の前に、診断書をチェックするのは必須の作業です。
また、そのチェックがしっかりと行えない弁護士は、交通事故事件に強い弁護士とはいえないでしょう。
交通事故事件に強い弁護士とは、交通事故の後遺障害の専門的知識を持つ弁護士だということはお分かりいただけたと思います。
そこで考えていただきたいのが、弁護士の依頼を受けている件数です。
例えば、相続や企業法務、離婚事件などとともに交通事故事件も担当している弁護士と、ほとんど交通事故事件だけを担当している弁護士だと、年間の交通事故事件の担当件数には数十件の差が出ます。
そして、それが数年経つと、百件~数百件の担当事件件数の差になります。
そもそも実務経験を経てしか交通事故に関わる医療の専門的知識が学べない状況にあって、担当事件件数が少ない弁護士が数百件交通事故事件を担当したことのある弁護士に知識で勝つことが出来るでしょうか?おそらく不可能でしょう。
そのため、普通の弁護士であれば、交通事故事件の担当件数が多くなる毎に、交通事故事件に強い弁護士になっていくのです。
では、そのような弁護士をどうやって探せばよいのでしょうか。
基本的には、法律事務所のホームページの知識の充実度で、その弁護士の経験を測ることができます。
法律事務所のホームページの掲載記事は、よほど大きな法律事務所でホームページ作成担当者を雇っていない限り、その法律事務所に在籍する弁護士が作成しています。
そして、当然のことながら自分が知らないことは記事には書けません。
そのため、法律事務所の交通事故事件の紹介をするページで、どれだけ交通事故事件の後遺障害について詳しく書かれているかで、その法律事務所に在籍する弁護士の交通事故の担当経験が推測できるのです。
もっとも、1人詳しい弁護士がいれば法律事務所のホームページの掲載記事を充実させることは可能ですから、大きな法律事務所で依頼をする場合には、依頼を受ける弁護士本人が交通事故事件についてどれだけ詳しいのかは、実際に弁護士に色々と質問をして確かめるしかありません。
当事務所の弁護士は、国立大学の医学部保健学科、理学療法学を専攻した後、国家試験を受験して理学療法士の資格を取得し、その後病院でリハビリ業務に従事しました。その後法科大学院へ行き、司法試験に合格したのち弁護士登録をしています。
つまり、当事務所の弁護士は、医療従事者であり、かつ弁護士でもあるという稀有な弁護士なのです。
東京都内には数多くの法律事務所があり、弁護士が働いていますが、医療の国家資格を有しておりかつ弁護士であるという弁護士は恐らく数人いるかいないかというほど珍しい存在ではないかと思われます。
理学療法士とはリハビリテーションの専門職で、大学では解剖学、運動学、生理学などの人体の基礎的知識が必修科目となっています。
骨の名前、関節の名前、筋肉や関節の構造など、大学では人体の構造について何度も試験を受け、繰り返し覚えさせられます。また、実際のご遺体の骨や筋肉を触りながら人体の構造を学ぶことも必修科目でした。
そのため、当然後遺障害の診断書やカルテに書かれている専門知識を理解できますし、むしろ理学療法士をしていた際には後遺障害の診断書に記載する関節の角度などを測っていた立場ですので、当事務所の弁護士は交通事故の後遺障害の問題にこれ以上ないほど適格な資格を有していると言えると思います。
逆にいうと、弁護士となって交通事故事件を担当する上で、交通事故の後遺障害という問題について誰も医療の専門家がいない状態で決定されていることに驚きました。
医師の先生方は治療の専門家であり後遺障害とはまったく別の分野ですので、後遺障害の問題を専門に扱えるのは、交通事故被害者側の弁護士しかいないのです。
ところが、医療的知識が不十分で後遺障害の診断書の準備が出来ず、そのまま進めることができないために弁護士を変える必要があったり、初回の後遺障害の等級申請の際の準備が不十分なために等級が認定されず、異議申立ての必要があったが異議申立ては出来ないと言われたために弁護士を変える必要があったりなど、交通事故事件に詳しい弁護士に依頼をしていなかったために困った方からのご依頼や相談を多く受けます。
当事務所では、別の法律事務所の弁護士との契約を解約した方からご依頼を受ける場合もありますが、その場合でも交通事故直後に必要であった資料が存在していなければ、後からその資料を入手することはできません。その場合は、適切な後遺障害の等級を獲得できない場合もあります。
また、当事務所の弁護士は異議申立てにより後遺障害の等級を獲得した件が複数件ありますが、逆に異議申立てをしても適切だと思われる等級を獲得できないこともあります。異議申立てによる等級の獲得が5%未満であることを考えると、初回の後遺障害の等級申請の前にご依頼をいただいていたら結果が違ったかもしれない、と残念に思う場合もあります。
このように、交通事故事件の依頼には、適切な時期に適切な弁護士に依頼をする必要があります。
また、交通事故事件の訴訟をしている際に、経験年数や法律事務所の属性からおそらく数百件の交通事故事件を担当しているだろう相手方の弁護士の方から、解剖学の基礎知識から明らかに誤っている主張をされたことがありました。当然その主張には解剖学の教科書を資料として反論し、こちらの主張が認められましたが、それほど事件の担当件数があっても医学の基礎知識を習得するのは難しいのだなと感じると同時に、他の弁護士が担当していればもしかしたら医学的に間違っている主張を前提に裁判官に判断されていたのかもしれないと思い怖く感じました。
交通事故事件は、依頼を受けた弁護士の知識によって、結果が大きく変わる可能性がある事件です。
弁護士への相談を迷われている場合には、まず一度弁護士へご相談されることが、よい結果へつながると思いますので、ぜひご相談ください。