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当事務所では、交通事故の後遺障害の等級の申請を、原則として被害者請求によって行っていきます。
ここでは、被害者請求を行う際、どのような点に気を付けていくのか、東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける理学療法士かつ弁護士が、時系列に沿ってご説明いたします。
交通事故直後やお怪我の急性期(受傷直後の回復時期のこと)にご相談をいただいた場合、まずは病院での診断書と、保険会社へ提出された月次の診断書を確認します。そして、被害者の方のお怪我の状態について聞き取りを行います。
これは、交通事故によるお怪我についての診断が、受傷直後に記載されていないという状態を防ぐためのものです。
受傷直後は気が動転していて、ご自身の怪我の状態をはっきり認識していないことが少なくありません。医師の先生に対して一番気になる症状についてしかお話をしておらず、カルテに当時の他の症状が一切記載されていなかったということが起こる可能性があります。
また、受傷直後は気になっていた怪我が治療により大幅に回復したけれども、受傷直後には気になっていなかった怪我が回復せず、後遺障害が残ってしまったということもあります。
そのような場合に、受傷直後の診断がなされていない怪我については、そもそも交通事故による怪我なのか、という最も根本的なところで争われてしまうことがあるのです。そして、そのようなケースは残念ながら少なくなく、しかも、事故の当初から症状があったことをカルテ以外で証明することは大変困難です。
受傷直後から、症状が出ている怪我について診断がなされていることは非常に重要なことです。
さらに、それらの診断について、検査(画像)がなされているかについても非常に重要な点になります。後遺障害の等級の認定は、原則として書面審査になりますので、怪我の状態が客観的な画像によって証明されることが重視されるためです。
回復期(急性期から、怪我が回復していく時期)においては、怪我の回復状態と、カルテの記載内容を確認します。これにより後遺障害の等級に該当する障害が残りそうか、等級の申請自体を行うかを決定します。
特殊な事例を除いて、少なくとも半年間は治療を継続し、回復状態を確認する必要があります。
また、高次脳機能障害のように、脳機能に障害が生じた場合には、その回復経過から、1年間以上の治療が必要になります。
後遺障害の等級の申請を行うことが決まった場合は、申請の準備を行っていきます。
等級の申請に申請時直前の医療画像が必要になる場合は、その撮影を行ってもらいます。
さらに、ご本人からの症状の聞き取りとカルテの記載を基に、後遺障害診断書について、どの部分の記載が必須となるかを確認し、病院に対して記載が必須となる部分の連絡を行います。
これは、後遺障害の等級の対象となる部位がお怪我によって異なってくるため、被害者の方の症状によって必要となる測定部位が異なるものになるためです。
後遺障害診断書には主要な関節の動きしか書式が用意されていませんので、例えば指や足の指などの細かい関節の動きが問題になる場合には、その関節の動きを記載する書式が必要になります。
また、通常の治療では測定しない部位や検査が必要となることもあるため、後遺障害診断書を作成する時点で後遺障害に詳しい弁護士が担当していることが重要になります。
後遺障害診断書や画像が手元に届くと、これらの内容の検証を行います。
記載が足りない部分はないか、または症状を把握していない等級の審査の担当者が見た場合に、症状の解釈について誤解が生まれるような記載がないかを確認します。修正が必要な場合には、病院に対してその理由とともに修正をお願いします。
申請の準備が出来たら、後遺障害診断書、医療画像などの資料とともに、被害者請求を行う際に必要な所定の書式とともに申請を行います。
被害者請求の場合、被害者側が審査に必要であると考える資料は添付して提出することが可能ですから、特殊な事情がある件については、追加資料とともに上申書を提出することがあります。
追加資料として提出するものとしては、主治医以外の医師が画像を鑑定した鑑定書、後遺障害が交通事故から発生したことを示す証拠、事故直後の傷の状態がわかる写真、治療経過を示したカルテなどが考えられます。
これらの資料はすべて、相手方の保険会社が手続きを行う事前認定では提出されません。しかしながら、後遺障害が交通事故によって発生し、想定される等級に該当することを示す重要な証拠になるのです。
申請先は交通事故の相手方の自賠責保険会社です。
自賠責保険会社が資料の形式をチェックし、所定の資料が揃っていれば、これらを損害保険料率算出機構、具体的には調査事務所に送付します。
そして、調査事務所の担当者が送られた資料の内容を審査し、等級の有無を判断します。
審査は原則的に書類審査ですが、顔の傷など、対面して判断した方がよいと思われる場合には調査事務所から面接の依頼が来ます。その場合は、面接を行ってから最終的な判断がなされます。
そのほかに、書類審査であっても、追加の資料の提出を求められることもあります。その場合は、申請者である弁護士に連絡が来ますので、資料が用意できる場合には用意を行い、用意ができない場合にはその理由を説明します。
等級の判断が調査事務所で出された場合は、その内容が自賠責保険会社へ送られ、自賠責保険会社が等級を決定します。
この結果が申請者へ書面で連絡されます。この結果の書面は、「認定票」と呼ばれています。また、この認定票は等級の数字しか書かれておらず、それに添付する「別紙」に認定の理由が記載されています。