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交通事故と成年後見制度

成年後見制度とは

成年後見制度とは、年をとって財産について自分でしっかり把握、管理できなくなったり、病気、交通事故で身の回りのことが出来なくなったりした人について、未成年者のように保護者(後見人)を決め、その保護者に本人のことをしてもらうことを国が認めるという制度です。

面倒をみてもらう人のことを成年被後見人、保護者の立場の人を成年後見人といい、成年後見人を決定するのは家庭裁判所です。

家庭裁判所において成年後見人が決定されると、本人が成年後見人であることが法務局で「登記」されます。

登記とは、不動産でよく聞く言葉ですが、不動産と同じように、○○の住所の○○の生年月日の○○という人については○○という成年後見人がついています、ということが登録されることです。

法務局で出される登記事項証明書があることで、成年後見人が本人(成年被後見人)を後見していることが公に証明され、銀行口座の解約、売買契約、施設の利用契約などの様々な契約を行えるようになります。

交通事故で成年後見人が必要となる場面

交通事故で被害者が重症を負うと、意識状態の低下や、高次脳機能障害によって、被害者本人との意思疎通を行うことが困難となる場合があります。その場合、通常親族が入院・転院の手続きや保険会社とのやり取りを行うことになります。

ところが、加害者に対して交通事故の損害賠償の請求を行ったり、弁護士に損害賠償を依頼したりすることは本来被害者本人しか行えないことなので、ご本人の意識状態がはっきりしていない場合に交通事故の損害賠償について示談を行うことが出来なくなるのです。

実際には、被害者本人の親族から交通事故事件について依頼を受けた弁護士が保険会社と交渉を進めることもありますが、法律的には問題があることになります。

そこで、成年後見制度が利用されるのです。

その場合、示談までには成年後見人の選任と、成年後見人から弁護士への依頼が必要になります(弁護士自身が成年後見人に選任されることもあります)。

成年後見人を選任するまでの手続き

後見開始の申立て

成年後見制度を利用するためには、まず、本人の実際に住んでいる場所を管轄する家庭裁判所に対して後見開始の申立てをしなければなりません。

家庭裁判所の管轄についてはこちらへ(裁判所のHPへ外部リンクしています)

申立て用の書類は家庭裁判所でもらうことができます。

必要書類は、

  •  申立書
  • 診断書(成年後見用)
  • 申立手数料(800円分の収入印紙(20198月時点))
  • 登記手数料(2,600円分の収入印紙(20198月時点))
  • 書類送付用の郵便切手(裁判所指定金額)
  • 本人の戸籍謄本

などです。

 

これらの書類を準備して家庭裁判所に提出すれば申立てが終了します。

親族が成年後見人となりたい場合には、裁判所の書類にその旨を記載して、その親族の情報についても書類を添付します。

また、親族以外の人(弁護士、司法書士、社会福祉士など)、または法人を成年後見人に推薦することもできます。

もっとも、成年後見人を誰と決めるかは裁判所の決定事項となるので、裁判所が成年後見人を決定した後に、その成年後見人を親族が拒否することはできません

申立て後は、申立人であっても、裁判所の許可が無ければ申立ての取り下げはできません。

弁護士が受けている事件の種類によっては、成年後見人の選任の申立て自体を、弁護士に依頼することもあります。

調査等

申立書を受理した裁判所は、資料を前提として、成年後見人を選任するべきか、選任するのであれば誰を成年後見人とするべきかを検討します。

この過程で、成年被後見人となる予定の本人、その親族との面談や、診断書では情報が不十分な場合は医師による鑑定を行うこともあります。この鑑定費用は5万円から10万円であることが多く、申立人が負担します。

審判

家庭裁判所の調査が終了すれば、審判がなされます。

成年後見人が選任される場合は、成年後見開始の審判となります。

審判が出されると、法務局に成年被後見人の登記がされます。

 

裁判所による説明についてはこちらへ(裁判所のHPへ外部リンクしています)

誰が成年後見人となるか

上記のとおり、誰が成年後見人となるかは、家庭裁判所に対して推薦、自薦はできるものの決定されるまでわかりません。

では、現実としてどのように選任がなされてきたのでしょうか。

交通事故の被害者で成年後見人が必要となるとき、その損害は重大なものですから、損害賠償金の金額は1,000万円を超えることが多くなります。

そして、2018年までの家庭裁判所の運用では、本人の財産が1,000万円を超えるような多額の場合は、厳格な管理が必要との見方から、原則として交通事故の示談のために成年後見制度を利用した場合にも専門職の成年後見人が選任されていました。

専門職の成年後見人とは、弁護士、司法書士、社会福祉士や法人などです。

ところが、成年後見制度の利用があまりされていないこと、今後より成年後見制度が必要とされることから、この運用が見直される流れがあります。

2019318日に厚労省で行われた第二回成年後見制度利用促進専門家会議において、最高裁判所は、

「本人の利益保護の観点からは、後見人となるにふさわしい親族等の身近な支援者がいる場合は、これらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましい」

 

として、20191月に各家庭裁判所に対して情報提供を行ったとしたのです。

そのため、今後は交通事故の被害者が成年後見制度を利用する場合であっても、親族が成年後見人に選任される可能性が高くなりました。

どのような運用がなされるのか、今後の裁判所の動向が注目されています。

成年後見人の仕事の内容

交通事故で成年後見人を選任した場合でも、それ以外の場合でも、成年後見人の仕事の内容は変わらず、本人(成年被後見人)の財産の管理を基本とした環境整備です。

交通事故の示談のために成年後見人が選任された場合は、成年後見人が親族である場合は、成年後見人から弁護士に対して損害賠償請求の依頼をすることになります。

弁護士が成年後見人として選任された場合は、成年後見人の職務として損害賠償請求を行います。

成年後見人が選任されると、まずは初回の仕事として、本人(成年被後見人)の財産状況を確認した上で管理下に置き、銀行口座の通帳、キャッシュカードなど、すべての財産は成年後見人が管理することになります。

成年後見人はこれらの財産について、資料を作成して裁判所に提出することになります。

これにより裁判所は本人(成年被後見人)の財産状況を把握し、日常的に必要となる金額、それ以外の財産を確認します。

その後は、成年後見人は1年毎に銀行預金の通帳の写しや領収書の写しを裁判所へ提出し、本人(成年被後見人)の財産状況について報告します。

この報告により、裁判所は成年後見人の職務を監督します。

成年後見人は本人(成年被後見人)の財産を保護する目的で選任されていますから、本人(成年被後見人)の財産について高額の変更を加える(財産を担保に借金をする、財産を第三者に売る、財産を親族に貸すなど)ことについては原則として行えません。

また、本人(成年被後見人)がそれまでに継続的に行ってきた親族への贈与、援助なども、成年後見人が決定した場合には認められません。

逆に、成年後見人が決定するまでに、親族が本人のために支出をしていた場合、その支出が本人のためであることが証明できる資料があれば本人(成年被後見人)の借金として扱い、成年後見人が親族に対して本人(成年被後見人)の財産から返却を行うことができます。

なお、成年後見人は、すべての業務を本人(成年被後見人)のために行いますから、たとえ成年後見の申立てを親族が行った場合であっても、本人の財産状況などを親族に開示する必要はありません。そのため、親族が成年後見人に本人(成年被後見人)の財産状況について情報開示を求めることはできません

これは、本人(成年被後見人)の個人情報保護の観点から、たとえ親族であっても本人(成年被後見人)の財産状況を知る権利はないためです。本来、本人(成年被後見人)の意思決定に何の問題もない状況で、その子供が親に親の財産状況について開示を要求する権利がないのと同様です。

ただし、本人(成年被後見人)の環境整備のために財産状況を変化させるような必要がある場合に、本人(成年被後見人)の意思尊重の観点から成年後見人から親族に財産状況を開示することもあるようです。

 

なお、本人(成年被後見人)の親族が管轄の家庭裁判所へ、成年後見人が提出した財産状況の報告書の閲覧、謄写の請求をして、裁判所の許可があった場合には、閲覧、謄写が可能となります。

成年後見人の報酬

成年後見人の報酬は、当然本人(成年被後見人)の財産から支払われます

 

成年後見人が後見職務について報酬をもらうためには、家庭裁判所に対して「報酬付与の申立」をして、裁判所が報酬額について決定する必要があります。

親族が成年後見人となり、報酬が必要ない場合には申立てをする必要はありません。

成年後見人の報酬については、申立てをした場合、月額2万円~5万円程度となることが多いようです。

 

また、弁護士が交通事故の損害賠償の示談交渉を行い示談が成立したような場合は、「付加報酬」として通常弁護士報酬として支払われる金額に準じた報酬が裁判所によって認められますが、報酬がいくらになるかは、事案の内容によって異なります。

成年後見人の職務の終了

成年後見人の職務は、1度選任されると、本人(成年被後見人)の意思決定、意思疎通が可能となるか、亡くなられるまで続きます。

そのため、成年後見人が途中で変更することは特段の事情がない限りありません

 

交通事故の示談のために成年後見人が選任された場合であっても、示談が終了した後も成年後見人の職務は続きます。

まとめ(制度のメリットとデメリット)

メリット
  • 本人との意思疎通ができない場合でも、本人でなければできない契約行為ができる。
  • 本人の財産で本人の環境を整えることが法的に認められる。
  • 専門職が成年後見人となった場合は、すべての契約、裁判所への報告を任せることができる。
  • 親族が本人のために支出した金銭について、資料があれば本人の財産から返却することができる。

 

デメリット

 

  • 誰が成年後見人に選任されるかわからない(今後は親族が選任される可能性が高い)。
  • 本人の意思表示が可能であった時に聞いていた本人の意思が、裁判所や成年後見人に認められるとは限らず、本人の希望通りにならない可能性がある。
  • 成年後見人に払う報酬(本人の財産から払う)が発生する。
  • 成年後見人の業務は法律的には裁判所のみに報告すればよいため、親族であっても本人の財産状況を知ることが困難になる(資料の閲覧、コピーは可能な場合がある)。
  • 本人の財産から親族への援助や贈与が行えなくなる。
  • 成年後見人を途中で変更することが困難。

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