交通事故の頭部外傷による麻痺の後遺障害
         /ハビリス法律事務所(東京都千代田区)

交通事故の後遺障害について、医学の国家資格を持ち、専門知識を武器に交通事故被害者の味方となる弁護士が詳しく解説します。

 

交通事故の後遺障害は、治療を受けていればそれだけで適切な認定を受けられるものではありません。被害者の側でしっかりと証拠を作っていかなければ、後遺障害が残っても等級が認定されないことが多々あります。

そのため、後遺障害が発生しそうな重症なお怪我を負われた場合、交通事故から早期に、交通事故と医療に詳しい弁護士にご相談される必要があります。

適切な後遺障害の認定がされなければ、その損害は数百万円から数千万円になることもあります

適切な損害賠償を得るために、知っていただきたいことがあります。

ここでは、交通事故によって生じる頭部外傷による麻痺について、東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける理学療法士かつ弁護士が、詳しく解説します。

目次

交通事故による身体の麻痺の概要

交通事故によって頭部や脊髄に損傷が生じた場合、身体に麻痺が生じることがあります。

ここでは、交通事故の後遺障害について、麻痺に着目してご説明します。

交通事故の衝撃が頭部に伝わった時、頭蓋骨に骨折などがなくても、脳の内部に出血、損傷が生じて脳の機能に障害が出ることがあります。

脳の機能に障害がない場合、身体を動かすための指令は脳から出されます。

 

脳の部位と動かす身体の部位はそれぞれ決まっており、脳の断面に身体の地図が書かれているようになっています。これを体部位再現地図といいます。

この脳の部分に損傷が生じると、損傷が生じた脳の部位に応じて身体に麻痺が発生します。また、脳からの指令を出す部分だけでなく、交通事故の衝撃でこの脳の部分から身体までつながっている神経の経路の一部分が損傷した場合にも、損傷部位に応じて麻痺が生じます。

麻痺の種類

麻痺とは、思った通りに身体を動かすことが出来なくなる症状ですが、交通事故による麻痺に限らず、身体の麻痺は大きく分けて2種類に分かれます。

1つは痙性(けいせい)麻痺です。

痙性麻痺の場合、筋肉は通常よりも緊張状態となり、関節を動かす際に緩むはずの場所の筋肉が上手く力を抜くことができず、運動を行うことの障害となります。

軽い痙性であれば抵抗感があるだけで動かすことが可能ですが、強度の痙性になると、セラピストが関節を動かそうとしてもほとんど動かないほど関節の動きが硬くなります。

 

このような状態になると、自分で身体を動かそうと思ってもほとんど関節を動かすことが出来なくなります。

もう1つの麻痺は、弛緩性麻痺です。

弛緩性麻痺は、痙性麻痺とは逆に、筋肉の緊張の程度が低くなり、関節を動かす際に筋肉に力が入らない、入ったとしても思った位置で関節を止めることができない麻痺です。

軽度の弛緩性麻痺であれば力が入りにくい状態ですが、重度の弛緩性麻痺では、まったく力が入らなくなり、筋肉を触った時の弾力も感じられないほどになります。

そもそも、筋肉は通常の状態では適度の緊張状態を保っていています。この緊張状態は、筋肉の中に筋肉の状態を感じ取るセンサーがあり、このセンサーの情報が脳まで到達し、身体の状態がフィードバックされることでコントロールされています。

ところが、この経路や脳の指令を出す部位に損傷が生じると、そのコントロールが上手くいかず、筋肉、関節の調節を行うことが難しくなるのです。

 

これが麻痺の生じている状態です。

麻痺の生じる場所

麻痺が生じるのは交通事故による脳外傷、病気による脳梗塞・脳出血などですが、麻痺が生じる場所はどのような原因であっても脳の損傷部位によって決まります。

 

脳が身体を動かす指令を出す神経は左右で交叉して身体の筋肉に到達するので、右の脳に損傷が生じると左の半身に麻痺が、左の脳に損傷が生じると右の半身に麻痺が発生します

右側の腕と足に麻痺が生じた場合と、左側の腕と足に麻痺が生じた場合、その麻痺は片麻痺(かたまひ)と呼ばれます。

脳の損傷部位の範囲が狭い場合は、その損傷部位が支配している部分に麻痺が生じるので、左右片側の腕または足のみに麻痺が発生します。

この場合は単麻痺(たんまひ)と呼ばれます。

これとは逆に、左右の腕と足のすべてに麻痺が生じた場合は、四肢麻痺(ししまひ)となります。

交通事故による麻痺の後遺障害の基準

後遺障害の申請準備について

交通事故の後遺障害についての等級の審査は、医学の資格を持たない方によって行われることがほとんどです。そのため、後遺障害の申請をする側で、適切に等級が認定されるようにしっかりとした資料を準備する必要があります。

ところが、交通事故被害者の方は通常医学的知識がありませんし、弁護士も交通事故事件を担当することで少しずつ該当箇所の医学知識を学んでいくことになりますので、十分な医学知識を持った弁護士はほとんどいないというのが現状です。

医学知識がない状態で後遺障害の等級申請を行うと、必要な検査が足りなかったり、資料の誤記をそのままにして申請をしてしまったり、交通事故被害者の方の怪我の状態を正確に把握することができず、後遺障害に該当する部分についての資料を準備しないまま申請をしてしまうことがあり、後遺障害が適切に認定される可能性が下がってしまいます

当法律事務所は、理学療法士という医学の国家資格を有する弁護士が事件を担当して、しっかりとお怪我の状態を把握した上で後遺障害の申請手続きを行いますので、このような心配はありません。

当法律事務所の弁護士は、理学療法士として病院で勤務していた際、後遺障害の診断書の検査の測定なども行っていますので、後遺障害の診断書の作成依頼や、完成した診断書の内容の把握が正確に行えます

後遺障害の等級は、等級が適切に認定されるかどうかで交通事故の損害賠償の金額が数百万から1千万円以上変わるものです。

ぜひ、しっかりとした医学知識がある弁護士にご相談ください。

後遺障害の具体的な基準
1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
33 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
52 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
74 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
910 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
1213 局部に頑固な神経症状を残すもの

 

後遺障害 第1級:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

1級は、次のいずれかに該当する状態を指します。

高度の四肢麻痺が認められるもの

「四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

 

「高度の麻痺」とは、腕においては、すべての関節をまったく動かせないか、物を持ち上げて移動させることができないものをいい、下肢においては、股関節、膝関節、足関節のすべての関節を動かせないか、下肢で体重を支えることや自分で下肢を動かすことが出来ないものをいいます。

中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

「四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

「中等度の麻痺」とは、腕においては片腕で軽量(500g)のものを持ち上げることができないか、文字を書くことができないもので、足においては、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

 

「常時介護を要するもの」とは、日常活動動作を行うとき、常に介護を必要とするものです。

高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

「片麻痺」とは、右腕全体、右足全体または左腕全体、左足全体というように片側の手と足に麻痺が生じるものです。

 

「高度の麻痺」とは、腕においては、すべての関節をまったく動かせないか、物を持ち上げて移動させることができないものをいい、下肢においては、股関節、膝関節、足関節のすべての関節を動かせないか、下肢で体重を支えることや自分で下肢を動かすことが出来ないものをいいます。

後遺障害 第2級:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

2級は、次のいずれかに該当する状態を指します。

高度の片麻痺が認められるもの

「片麻痺」とは、右腕全体、右足全体または左腕全体、左足全体というように片側の手と足に麻痺が生じるものです。

 

「高度の麻痺」とは、腕においては、すべての関節をまったく動かせないか、物を持ち上げて移動させることができないものをいい、下肢においては、股関節、膝関節、足関節のすべての関節を動かせないか、下肢で体重を支えることや自分で下肢を動かすことが出来ないものをいいます。

中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

「四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

「中等度の麻痺」とは、腕においては軽量(500g)のものを持ち上げることができないか、文字を書くことができないもので、足においては、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

 

「随時介護を要するもの」とは、日常活動動作を行うとき、常に介護は必要ではないものの、一定のタイミングで介護が必要な状態をいいます。

後遺障害  第33号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

33号は、以下の状態を指します。

中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護までは必要としないもの

「四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

「中等度の麻痺」とは、腕においては軽量(500g)のものを持ち上げることができないか、文字を書くことができないもので、足においては、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

後遺障害  第52号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

52号は、次のいずれかに該当する状態を指します。

軽度の四肢麻痺が認められるもの

「四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

 

ここでいう「軽度の麻痺」とは、腕においては、文字を書くことに困難を伴うもの、足においては、日常生活では1人で歩くことが可能ですが、不安定で転倒しやすく、速度も遅いものを指します。

中等度の片麻痺が認められるもの

「片麻痺」とは、右腕全体、右足全体または左腕全体、左足全体というように片側の手と足に麻痺が生じるものです。

 

ここでいう「中等度の麻痺」とは、腕においては軽量(500g)のものを持ち上げることができないか、文字を書くことができないもので、足においては、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないものを言います。

高度の単麻痺が認められるもの

「単麻痺」とは、右腕、左腕、右足、左足のどれか1つについて麻痺が生じるものです。

 

「高度の麻痺」とは、腕においては、すべての関節をまったく動かせないか、物を持ち上げて移動させることができないものをいい、下肢においては、股関節、膝関節、足関節のすべての関節を動かせないか、下肢で体重を支えることや自分で下肢を動かすことが出来ないものをいいます。

後遺障害  第74号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

74号は、次のいずれかに該当する状態を指します。

軽度の片麻痺が認められるもの

「片麻痺」とは、右腕全体、右足全体または左腕全体、左足全体というように片側の手と足に麻痺が生じるものです。

 

ここでいう「軽度の麻痺」とは、腕においては、文字を書くことに困難を伴うもの、足においては、日常生活では1人で歩くことが可能ですが、不安定で転倒しやすく、速度も遅いものを指します。

中等度の単麻痺が認められるもの

「単麻痺」とは、右腕、左腕、右足、左足のどれか1つについて麻痺が生じるものです。

ここでいう「中等度の麻痺」とは、腕においては軽量(500g)のものを持ち上げることができないか、文字を書くことができないもので、足においては、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないものを言います。

 

 

後遺障害  第910号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

910号は、以下の状態を指します。

軽度の単麻痺が認められるもの

「単麻痺」とは、右腕、左腕、右足、左足のどれか1つについて麻痺が生じるものです。

 

ここでいう「軽度の麻痺」とは、腕においては、文字を書くことに困難を伴うもの、足においては、日常生活では1人で歩くことが可能ですが、不安定で転倒しやすく、速度も遅いものを指します。

後遺障害  第1213号:局部に頑固な神経症状を残すもの

1213号は、次のいずれかに該当する状態を指します。

運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの

運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

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