交通事故による脊髄損傷と後遺障害
     /ハビリス法律事務所(東京都千代田区)

交通事故の後遺障害について、医学の国家資格を持ち、専門知識を武器に交通事故被害者の味方となる弁護士が詳しく解説します。

ご存知ですか?

交通事故の後遺障害は、治療を受けていればそれだけで適切な認定を受けられるものではありません。被害者の側でしっかりと証拠を作っていかなければ、後遺障害が残っても等級が認定されないことが多々あります。

そのため、後遺障害が発生しそうな重症なお怪我を負われた場合、交通事故から早期に、交通事故と医療に詳しい弁護士にご相談される必要があります

適切な後遺障害の認定がされなければ、その損害は数百万円から数千万円になることもあります

適切な損害賠償を得るために、知っていただきたいことがあります。

ここでは、交通事故による脊髄損傷と後遺障害について、東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける理学療法士かつ弁護士が、詳しく解説します。

目次

脊髄の構造

脊髄は、脳から出た身体を動かす指令を伝える運動神経(上から下へ)と、身体の各部位から感覚を脳まで伝える感覚神経(下から上へ)の神経の束です。

この神経の束は、身体の機能を維持する上で非常に重要なものなので、背骨(脊柱)に守られています。

 

背骨の11つ(脊椎)の後ろには穴が開いていて、この穴がつながることで脊髄がある部屋が形作られています。

上下に伸びている脊髄からは、それぞれの高さで神経が横方向に出ていて、その高さにある筋肉や感覚を支配しています。

脊髄を輪切りにすると、下の図のようになります。

後ろに2本あるのが感覚神経で、身体からの感覚を伝えています。

 

前に2本あるのが運動神経で、これは脳からの運動の指令を伝えています。

脊髄損傷の原因と病態

脊髄損傷の原因の多くは、交通事故です。

交通事故で背骨(脊椎)に強度の衝撃があった場合圧迫骨折や破裂骨折が起こりますが、これにとどまらず骨の後ろで守られている脊髄にまで損傷が生じると脊髄損傷となります。

脊髄が損傷されると、その損傷の仕方によって症状が分かれます。

交通事故の衝撃が最も大きい場合、衝撃を受けた部分の脊髄が完全に損傷して、完全麻痺となります。

この場合、運動神経はその部位から下へ運動の指令を伝えることが出来なくなりますから、損傷した部位から下の身体は全く動かせなくなります。

それと同様に、下から上へ感覚を伝える感覚神経も途中で道が途絶えますから、損傷部位から下の感覚を全く感じることが出来なくなります。

交通事故で脊髄損傷が起こった場合、四肢麻痺(両腕、両足が動かない)か、対麻痺(両足が動かない)が生じます。

一方、脊髄損傷が起こったものの完全な損傷でなかった場合は、不全麻痺となります。

 

不全麻痺の場合、損傷していない部分の運動神経や感覚神経は信号を伝えることができます。そのため、運動麻痺が生じても、ある程度は動かすことができます。また、感覚障害にしても、障害が生じる部分が損傷した部位に限られるので、その他の場所の感覚は感じることが出来ます。

交通事故における脊髄損傷の後遺障害の基準

後遺障害の申請準備について

交通事故の後遺障害についての等級の審査は、医学の資格を持たない方によって行われることがほとんどです。そのため、後遺障害の申請をする側で、適切に等級が認定されるようにしっかりとした資料を準備する必要があります。

ところが、交通事故被害者の方は通常医学的知識がありませんし、弁護士も交通事故事件を担当することで少しずつ該当箇所の医学知識を学んでいくことになりますので、十分な医学知識を持った弁護士はほとんどいないというのが現状です。

医学知識がない状態で後遺障害の等級申請を行うと、必要な検査が足りなかったり、資料の誤記をそのままにして申請をしてしまったり、交通事故被害者の方の怪我の状態を正確に把握することができず、後遺障害に該当する部分についての資料を準備しないまま申請をしてしまうことがあり、後遺障害が適切に認定される可能性が下がってしまいます

当法律事務所は、理学療法士という医学の国家資格を有する弁護士が事件を担当して、しっかりとお怪我の状態を把握した上で後遺障害の申請手続きを行いますので、このような心配はありません。

当法律事務所の弁護士は、理学療法士として病院で勤務していた際、後遺障害の診断書の検査の測定なども行っていますので、後遺障害の診断書の作成依頼や、完成した診断書の内容の把握が正確に行えます

後遺障害の等級は、等級が適切に認定されるかどうかで交通事故の損害賠償の金額が数百万から1千万円以上変わるものです。

ぜひ、しっかりとした医学知識がある弁護士にご相談ください。

後遺障害の具体的な基準

交通事故における脊髄損傷の後遺障害の基準は、以下のとおりです。

1

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
33 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
52 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
74 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
910 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
1213 局部に頑固な神経症状を残すもの

 

後遺障害 第1級  神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

1級は、次のいずれかに該当する状態を指します。

  • 高度の四肢麻痺が認められるもの

四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

高度の麻痺」とは、腕においては、すべての関節をまったく動かせないか、物を持ち上げて移動させることができないものをいい、下肢においては、股関節、膝関節、足関節のすべての関節を動かせないか、下肢で体重を支えることや自分で下肢を動かすことが出来ないものをいいます。

  • 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

中等度の麻痺」とは、腕においては片腕で軽量(500g)のものを持ち上げることができないか、文字を書くことができないもので、足においては、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

 

常時介護を要するもの」とは、日常活動動作を行うとき、常に介護を必要とするものです。

 

  • 高度の対麻痺が認められるもの

対麻痺」とは、両腕の麻痺または両下肢の麻痺ですが、脊髄損傷の場合は両下肢の麻痺を指します。

高度の麻痺」とは、股関節、膝関節、足関節のすべての関節を動かせないか、下肢で体重を支えることや自分で下肢を動かすことが出来ないものをいいます。

 

  • 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

対麻痺」とは、両腕の麻痺または両下肢の麻痺ですが、脊髄損傷の場合は両下肢の麻痺を指します。

中等度の麻痺」とは、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

 

後遺障害 第2級  

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

2級は、次のいずれかに該当する状態を指します。

  • 中等度の四肢麻痺が認められるもの

四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

中等度の麻痺」とは、腕においては軽量(500g)のものを持ち上げることができないか、文字を書くことができないもので、足においては、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

  • 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

軽度の麻痺」とは、腕においては、文字を書くことに困難を伴うもの、足においては、杖または硬性装具なしには階段を上ることができないものをいいます。

随時介護を要するもの」とは、日常活動動作を行うとき、常に介護は必要ではないものの、一定のタイミングで介護が必要な状態をいいます。

  • 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

対麻痺」とは、両腕の麻痺または両下肢の麻痺ですが、脊髄損傷の場合は両下肢の麻痺を指します。

中等度の麻痺」とは、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

随時介護を要するもの」とは、日常活動動作を行うとき、常に介護は必要ではないものの、一定のタイミングで介護が必要な状態をいいます。

後遺障害 第33号 

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

  • 軽度の四肢麻痺が認められるもの

四肢麻痺」とは、両腕、両下肢のすべてに麻痺がみられるものです。

軽度の麻痺」とは、腕においては、文字を書くことに困難を伴うもの、足においては、杖または硬性装具なしには階段を上ることができないものをいいます。

また、第2級との比較から、随時介護までは必要ではないものが該当します。

  • 中等度の対麻痺が認められるもの

対麻痺」とは、両腕の麻痺または両下肢の麻痺ですが、脊髄損傷の場合は両下肢の麻痺を指します。

中等度の麻痺」とは、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるものを言います。

また、第2級との比較から、随時介護までは必要ではないものが該当します。

後遺障害 第52号  

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

第5級2号は、次のいずれかに該当する状態を指します。

  • 軽度の対麻痺が認められるもの

対麻痺」とは、両腕の麻痺または両下肢の麻痺ですが、脊髄損傷の場合は両下肢の麻痺を指します。

軽度の麻痺」とは、杖または硬性装具なしには階段を上ることができないものをいいます。

 

  • 一下肢の高度の単麻痺が認められるもの

単麻痺」とは、右足、左足のどちらかについて麻痺が生じるものです。

高度の麻痺」とは、股関節、膝関節、足関節のすべての関節を動かせないか、下肢で体重を支えることや自分で下肢を動かすことが出来ないものをいいます。

 

 

後遺障害 第74号  

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

  • 一下肢の中等度の単麻痺が認められるもの

単麻痺」とは、右足、左足のどちらかについて麻痺が生じるものです。

中等度の麻痺」とは、杖または硬性装具なしには階段を上ることができないものを言います。

後遺障害 第910号 

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

  • 一下肢の軽度の単麻痺が認められるもの

単麻痺」とは、右足、左足のどちらかについて麻痺が生じるものです。

 

軽度の麻痺」とは、日常生活では1人で歩くことが可能ですが、不安定で転倒しやすく、速度も遅いものを指します。

後遺障害 第1213号 局部に頑固な神経症状を残すもの

1213号は、次のいずれかに該当する状態を指します。

  • 運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの

軽微な麻痺の場合、腕、足を思い通りに動かすことができるものの、筋肉の緊張の程度が変わることがあります。

筋肉は、通常、意識をして力を入れない状態にしていても、一定の緊張状態を保っています。この筋肉の緊張状態を「筋緊張」といいます。

ところが、神経に損傷が生じた場合、筋緊張のコントロールが上手くいかず、緊張が高まった状態になることがあります。これを筋緊張の「亢進」といいます。

軽度の亢進であれば自分の思ったとおりに筋肉を動かすことができますが、筋緊張の亢進の程度が重症になると、その筋肉を弛緩させる方向に関節を動かす際に障害となり、関節運動を行うことができなくなります。これが麻痺で身体を上手く動かすことが出来なくなることの原因の1つとなります。

 

  • 運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

神経の障害が感覚神経で起こると、その神経が支配している部位について感覚障害が生じます。

 

感覚は、触覚、圧覚、痛覚、温冷覚があり、触ってもわからない、痛みがわからない、またはしびれが生じているなどの症状があります。

 

 

このように、交通事故の後遺障害の認定は細かく基準が決められているため、お怪我の状態に合わせて適切な検査結果をそろえて後遺障害の申請を行わなければ適切な後遺障害が認定されません。

そのため、交通事故の後遺障害の申請は、お怪我の状態を正確に把握し、後遺障害診断書などの医学的資料を適切に把握できる弁護士が行うことが理想的です。

ところが、依頼する弁護士によっては、お怪我の状態やカルテ、診断書を正確に把握することができません。

ぜひ、後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

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