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交通事故の後遺障害について、医学の国家資格を持ち、専門知識を武器に交通事故被害者の味方となる弁護士が詳しく解説します。
ご存知ですか?
交通事故の後遺障害は、治療を受けていればそれだけで適切な認定を受けられるものではありません。被害者の側でしっかりと証拠を作っていかなければ、後遺障害が残っても等級が認定されないことが多々あります。
そのため、後遺障害が発生しそうな重症なお怪我を負われた場合、交通事故から早期に、交通事故と医療に詳しい弁護士にご相談される必要があります。
適切な後遺障害の認定がされなければ、その損害は数百万円から数千万円になることもあります。
適切な損害賠償を得るために、知っていただきたいことがあります。
ここでは、交通事故による上肢の切断と後遺障害について、東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける理学療法士かつ弁護士が、詳しく解説します。
上肢の切断は、交通事故による直接の衝撃によって、上肢に回復可能な損傷が生じたときに選択される治療です。
後遺障害は、切断された部位によって等級が定められています。
上肢の切断手術を終えた後、断端の成熟を待ってから多くの方は義手の作成をします。
通常、手術直後から、切断した部位の傷口を管理するとともに、断端を形成していくことが重要になります。断端とは、残っている関節から伸びている足の部分で、手術で切断した部位から上の部分になります。
切断手術を行うと、その部位は傷により腫れが生じます。断端には手術後から包帯を巻いて患部を圧迫します。
包帯を巻くのは、上肢の場合は通常理学療法士(PT)、作業療法士(OT)で、病棟の看護師が行う場合もあります。
下肢を切断した場合と異なり、上肢を切断した場合は患者本人が包帯を巻くことが難しくなりますが、退院までに本人が包帯を巻くことができるようトレーニングをすることもあります。
包帯による圧迫は断端形成において重要な点で、1日に数回巻きなおすのが通常です。これを継続して行うことで、断端の形を整え、義手の作成の準備をします。
また、断端の圧迫と状態の確認は、退院までに本人が自身で管理できるようになることが必要になります。
このようにして断端の形を整えていくことを、断端の形成や成熟といいます。
装飾義手とは、その名のとおり、切断した部位以降の腕、手の形を模した機能を持たない義手です。義手ではあっても、装飾のためのものなので、義手で物を持ったりつかんだりすることはできません。
2013年に報告されている医療調査では、日本で作成される義手の約80~90%が装飾義手であるとされています。
能動義手は、ハーネスを操作することで義手を動かすシステムです。
肩関節や肩甲骨の動きを、義手の手や肘の動きに変換することで義手を動かします。
動力は本人の筋力になります。
筋電義手は、筋肉を動かす際に発生する信号(表面筋電位)を利用します。
動物の身体は、脳が身体を動かそうとすると、脳から出された電気信号が神経を通って伝わり、これが筋肉に伝わります。このとき、筋肉の膜に電気信号が伝わります。
筋電義手はこの電気信号を義手が拾い、その電気信号に応じて手を握る、開くという動作を行えるようにしたものです。
筋電義手を使えば、義手で物をつかんだり離したりする動作が可能になります。
最新の研究では、この筋電義手のシステムをAI(人工知能)でよりスムーズに使用することが可能になったという報告がされています。
現在の日本の筋電義手の普及率は数%ですが、今後は義手とAIの研究により、より使用されるようになることが考えられます。
断端に一定の成熟が見られたら、断端の型をとって義手のソケットを作成します。
どのタイミングで義手を作成するかは、断端の状態、全身の状態によりますから、医師の判断によります。
義手のソケットは義手に力を伝えるものになり、また、義手を身体につなぐ個所になりますから、断端にしっかりとフィットする必要があります。また、ソケットがフィットしていないと断端に傷が出来てしまうこともあります。
ソケットが完成したら、義手、継ぎ手をつけて義手が完成します。
切断部位が肘関節より上であれば、肘関節の代わりとなる継ぎ手が必要になります。
義手は、ソケットと支柱、継ぎ手の角度など調整項目が多くあるため、作業療法士(理学療法士)、技師装具士が協力してリハビリテーションを進めていきます。
この義手の作成、調整と並行して、特に切断した側の上肢の関節可動域訓練、筋力トレーニングを行うことが重要になります。
肘関節よりも上部で切断が行われると、義手で膝関節の機能を行わなければならないことに加えて、継ぎ手が加わり義手の重さも重くなりますから、より筋力増強が必要になります。
また、断端は通常の筋肉の状態とは異なりますから、一方向に引っ張られて関節の可動域が狭くなることがあります。そうなると、義手を装着した際に上手く動かすことが難しくなりますから、可動域訓練も必要になります。
作成する義手が装飾義手であれば、怪我をしていない方の手によって1人で義手を装着することトレーニングを行います。
義手が能動義手、筋電義手の場合は、義手を装着した上で、その義手の手を閉じる、開く動作を練習し、それが可能になれば大きなものから物をつかむ、離す練習を行っていきます。
さらに、切断した腕が利き手の場合は、箸の使用などの細かい動きについて利き手でない手で行う利き手交換のリハビリを行っていきます。
交通事故の後遺障害についての等級の審査は、医学の資格を持たない方によって行われることがほとんどです。そのため、後遺障害の申請をする側で、適切に等級が認定されるようにしっかりとした資料を準備する必要があります。
ところが、交通事故被害者の方は通常医学的知識がありませんし、弁護士も交通事故事件を担当することで少しずつ該当箇所の医学知識を学んでいくことになりますので、十分な医学知識を持った弁護士はほとんどいないというのが現状です。
医学知識がない状態で後遺障害の等級申請を行うと、必要な検査が足りなかったり、資料の誤記をそのままにして申請をしてしまったり、交通事故被害者の方の怪我の状態を正確に把握することができず、後遺障害に該当する部分についての資料を準備しないまま申請をしてしまうことがあり、後遺障害が適切に認定される可能性が下がってしまいます。
当法律事務所は、理学療法士という医学の国家資格を有する弁護士が事件を担当して、しっかりとお怪我の状態を把握した上で後遺障害の申請手続きを行いますので、このような心配はありません。
当法律事務所の弁護士は、理学療法士として病院で勤務していた際、後遺障害の診断書の検査の測定なども行っていますので、後遺障害の診断書の作成依頼や、完成した診断書の内容の把握が正確に行えます。
後遺障害の等級は、等級が適切に認定されるかどうかで交通事故の損害賠償の金額が数百万から1千万円以上変わるものです。
ぜひ、しっかりとした医学知識がある弁護士にご相談ください。
交通事故で上肢を切断した場合、その後遺障害の存在は明らかです。
交通事故の切断の後遺障害は、その切断の部位によって基準があります。
第1級3号 | 両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
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第2級3号 | 両上肢を手関節以上で失ったもの |
第4級4号 | 1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
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第5級4号 | 1上肢を手関節以上で失ったもの |
交通事故における切断の場合、その障害が後遺障害に該当することは明らかです。
そのため、切断は、早期に後遺障害の申請をしても、例外的に後遺障害が認定される障害です。
ところが、後遺障害の申請をするタイミングは、症状固定をしたときとなっています。
症状固定とは、それ以上の治療を行っても症状が改善しないと考えられる時点です。
そのため、症状固定をした以降は、原則として交通事故の加害者側から治療費が支払われません。これはリハビリテーションのための費用も含みます。
そのため、症状固定を前倒しして後遺障害の申請を行うと、それ以降の必要な治療費(リハビリ費用)が自己負担となってしまう可能性が高いのです。
そのため、後遺障害の申請をするタイミングは、少なくとも断端がある程度成熟して義手を作成し、練習を開始した後の方がよいでしょう。
幻肢痛(げんしつう)とは、切断したことにより失われた足、腕があたかも存在するように感じ、その失われた身体に痛みを感じる症状です。この症状は古くから確認されており、その原因にも諸説あります。
このうち、1つの説を紹介します。
脳が体を動かそうとするときに使用する脳の場所は、身体の場所によって決まっているのですが(これを体部位再現地図といいます)、ここでは身体を動かそうと指示を出し、実際に動いた体からの感覚情報が返ってくることで身体を動かすことをコントロールしています。
ところが、身体を切断すると、脳の方では切断された部位を動かす信号を出しているのに、身体の方から感覚情報が返ってこず、情報の混乱が起こることで痛みを感じるという原因が考えられています。
幻肢痛は、通常交通事故の後遺障害の等級には認定されません。
それは、そもそも、後遺障害の等級を認定する際、特定の怪我に通常付随すると考えられる障害は特定の怪我における後遺障害の等級においてすでに考慮されると考える、という前提があるためです。
幻肢痛は、切断をしなければ発生しない症状で、かつ、切断をした場合に多くの症例で認められる症状であるため、切断の等級において幻肢痛も考慮されているという理由で、痛みの等級が認められていないのです。
幻肢痛を感じた方の場合、時間の経過とともに症状が落ち着いていく方もいますが、数年経過しても強い痛みを感じる方もいます。
幻肢痛の治療はいくつかありますが、多くの方に有効性が認められたと報告されている治療に、鏡療法(ミラーセラピー)というものがあります。
これは、鏡を使用して、幻肢がある位置に反対側の身体の鏡像を写し、これを目で見ることで脳に幻肢から感覚情報が返ってくるサイクルが正常に働いていると錯覚をさせることで、幻肢痛を軽減させるというものです。
これをさらに進化させ、仮想現実(VR:バーチャルリアリティー)システムで、映像で幻肢を本当にある身体と認識させ、これを動かすことで多くの患者の幻肢痛が緩和されたという研究報告もされています。
なお、この治療では、筋肉がひきつるような運動感覚に関連した幻肢痛において効果を発揮しやすいことが報告されています。
また、筋電義手を使用した場合は、脳の指示のとおりに義手が動いていることが目で確認できるため、ミラーセラピーをおこなったときと同じ現象がおき、幻肢痛が減少する場合があると報告されています。
後遺障害の申請は、お怪我の状態を正確に把握し、後遺障害診断書などの医学的資料を適切に把握できる弁護士が行うことが理想的です。
ところが、依頼する弁護士によっては、お怪我の状態やカルテ、診断書を正確に把握することができません。
ぜひ、後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。