交通事故による下肢の切断と後遺障害
     /ハビリス法律事務所(東京都千代田区)

交通事故の後遺障害について、医学の国家資格を持ち、専門知識を武器に交通事故被害者の味方となる弁護士が詳しく解説します。

ご存知ですか?

交通事故の後遺障害は、治療を受けていればそれだけで適切な認定を受けられるものではありません。被害者の側でしっかりと証拠を作っていかなければ、後遺障害が残っても等級が認定されないことが多々あります。

そのため、後遺障害が発生しそうな重症なお怪我を負われた場合、交通事故から早期に、交通事故と医療に詳しい弁護士にご相談される必要があります

適切な後遺障害の認定がされなければ、その損害は数百万円から数千万円になることもあります

適切な損害賠償を得るために、知っていただきたいことがあります。

ここでは、交通事故による下肢の切断と後遺障害について、東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける理学療法士かつ弁護士が、詳しく解説します。

目次

  1. 断端の形成、成熟
  2. 義足の作成
  3. 関節可動域訓練、筋力トレーニング

  1. 幻肢痛とは
  2. 幻肢痛における交通事故の後遺障害の認定
  3. 幻肢痛の治療

下肢の切断の概要

下肢の切断は、交通事故による直接の衝撃によって、下肢に回復可能な損傷が生じたときに選択される治療です。

交通事故による下肢の切断は、歩行の獲得や痛みという大きな問題を抱える怪我です。

また、後遺障害は、切断された部位によって等級が定められています。

治療とリハビリテーション

断端の形成、成熟

下肢の切断手術を終えた後、最も重要な目標は義足による歩行の獲得になります。

通常、手術直後から、切断した部位の傷口を管理するとともに、断端を形成していくことが重要になります。断端とは、残っている関節から伸びている足の部分で、手術で切断した部位から上の部分になります。

切断手術を行うと、その部位は傷により腫れが生じます。そして、そのままの状態では断端の形がきれいにならず、義足をつけて歩くことが難しくなるので、断端には手術後から包帯を巻いて患部を圧迫します。

包帯を巻くのは、下肢の場合は通常理学療法士(PT)で、患者本人でも可能な場合は本人に指導した上で本人が行います。病棟の看護師が行う場合もあります。

包帯による圧迫は断端形成において重要な点で、1日に数回巻きなおすのが通常です。これを継続して行うことで、断端の形を整え、義足の作成の準備をします。

また、断端の圧迫と状態の確認は、退院までに本人が自身で管理できるようになることが必要になります。

 

このようにして断端の形を整えていくことを、断端の形成や成熟といいます。

義足の作成

断端に一定の成熟が見られたら、断端の型をとって義足のソケットを作成します。

場合によっては、練習用の義足を早期に作成し、断端が成熟してから再度長期間使用する義足を作成することもあります。

どのタイミングで義足を作成するかは、断端の状態、全身の状態によりますから、医師の判断によります。

義足のソケットは義足に力を伝えるものになりますから、断端にしっかりとフィットする必要があります。また、歩行によって断端にはかなりの体重がかかりますから、ソケットがフィットしていないと断端に傷が出来てしまうこともあります。

ソケットが完成したら、義足の支柱、継ぎ手をつけて義足が完成します。

切断部位が膝関節より下であれば支柱のみ、膝関節より上であれば、膝関節の代わりとなる継ぎ手が必要になります。

義足は、ソケットと支柱、継ぎ手の角度など調整項目が多くあるため、理学療法士、技師装具士が協力してリハビリテーションを進めていきます。

まずは義足をつけて立つこと、それから立ったまま義足への体重移動を行い、それが可能になれば歩行練習をしていきます。

リハビリテーションが順調に進めば、義足の状態で早歩き、走ることが可能になることもあります。

関節可動域訓練、筋力トレーニング

この義足の作成、調整と並行して、特に切断した側の下肢の関節可動域訓練筋力トレーニングを行うことが重要になります。

膝関節よりも上部で切断が行われると、義足で膝関節の機能を行わなければならないことに加えて、下肢を支える重要な筋肉である大腿四頭筋の筋力が落ちる上に、継ぎ手が加わることにより義足の重さも重くなりますから、より筋力増強が必要になります。

また、断端は通常の筋肉の状態とは異なりますから、一方向に引っ張られて関節の可動域が狭くなることがあります。そうなると、義足を装着した際に体重移動、力を入れることが難しくなるのです。

 

適切な治療、リハビリテーションを行って、60歳を超える方でも義足での歩行を獲得できた場合があります。

下肢の切断における後遺障害

後遺障害の申請準備について

交通事故の後遺障害についての等級の審査は、医学の資格を持たない方によって行われることがほとんどです。そのため、後遺障害の申請をする側で、適切に等級が認定されるようにしっかりとした資料を準備する必要があります。

ところが、交通事故被害者の方は通常医学的知識がありませんし、弁護士も交通事故事件を担当することで少しずつ該当箇所の医学知識を学んでいくことになりますので、十分な医学知識を持った弁護士はほとんどいないというのが現状です。

医学知識がない状態で後遺障害の等級申請を行うと、必要な検査が足りなかったり、資料の誤記をそのままにして申請をしてしまったり、交通事故被害者の方の怪我の状態を正確に把握することができず、後遺障害に該当する部分についての資料を準備しないまま申請をしてしまうことがあり、後遺障害が適切に認定される可能性が下がってしまいます

当法律事務所は、理学療法士という医学の国家資格を有する弁護士が事件を担当して、しっかりとお怪我の状態を把握した上で後遺障害の申請手続きを行いますので、このような心配はありません。

当法律事務所の弁護士は、理学療法士として病院で勤務していた際、後遺障害の診断書の検査の測定なども行っていますので、後遺障害の診断書の作成依頼や、完成した診断書の内容の把握が正確に行えます

後遺障害の等級は、等級が適切に認定されるかどうかで交通事故の損害賠償の金額が数百万から1千万円以上変わるものです。

ぜひ、しっかりとした医学知識がある弁護士にご相談ください。

後遺障害の具体的な基準

交通事故で下肢を切断した場合、その後遺障害の存在は明らかです。

交通事故の切断の後遺障害は、その切断の部位によって基準があります。

 

  •  両足を切断した場合の後遺障害
第1級5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
第2級4号 両下肢を足関節以上で失ったもの
第4級7号

両足をリスフラン関節以上で失ったもの

 

  • 片足を切断した場合の後遺障害
45

1下肢をひざ関節以上で失ったもの

55

1下肢を足関節以上で失ったもの

第7級8 1足をリスフラン関節以上で失ったもの

 

リスフラン関節とは、足根中足関節という、足首の少し前にある足根骨と、足の甲で触れる中足骨で作られる関節で、関節ではあってもほとんど動きがない部分です。

後遺障害の認定申請のタイミング

交通事故における切断の場合、その障害が後遺障害に該当することは明らかです。

そのため、切断は、早期に後遺障害の申請をしても、例外的に後遺障害が認定される障害です。

ところが、後遺障害の申請をするタイミングは、症状固定をしたときとなっています。

症状固定とは、それ以上の治療を行っても症状が改善しないと考えられる時点です。

そのため、症状固定をした以降は、原則として交通事故の加害者側から治療費が支払われません。これはリハビリテーションのための費用も含みます。

そのため、症状固定を前倒しして後遺障害の申請を行うと、それ以降の必要な治療費(リハビリ費用)が自己負担となってしまう可能性が高いのです。

 

そのため、後遺障害の申請をするタイミングは、少なくとも断端がある程度成熟して義足を作成し、練習を開始した後の方がいいでしょう。

下肢の切断による幻肢痛

幻肢痛とは

体部位再現地図の模式図

幻肢痛(げんしつう)とは、切断したことにより失われた足、腕があたかも存在するように感じ、その失われた身体に痛みを感じる症状です。この症状は古くから確認されており、その原因にも諸説あります。

このうち、1つの説を紹介します。

脳が体を動かそうとするときに使用する脳の場所は、身体の場所によって決まっているのですが(これを体部位再現地図といいます)、ここでは身体を動かそうと指示を出し、実際に動いた体からの感覚情報が返ってくることで身体を動かすことをコントロールしています。

 

ところが、身体を切断すると、脳の方では切断された部位を動かす信号を出しているのに、身体の方から感覚情報が返ってこず、情報の混乱が起こることで痛みを感じるという原因が考えられています。

幻肢痛における交通事故の後遺障害の認定

幻肢痛は、通常交通事故の後遺障害の等級には認定されません

それは、そもそも、後遺障害の等級を認定する際、特定の怪我に通常付随すると考えられる障害は特定の怪我における後遺障害の等級においてすでに考慮されると考える、という前提があるためです。

幻肢痛は、切断をしなければ発生しない症状で、かつ、切断をした場合に多くの症例で認められる症状であるため、切断の等級において幻肢痛も考慮されているという理由で、痛みの等級が認められていないのです。

 

幻肢痛の治療

幻肢痛を感じた方の場合、時間の経過とともに症状が落ち着いていく方もいますが、数年経過しても強い痛みを感じる方もいます。

幻肢痛の治療はいくつかありますが、多くの方に有効性が認められたと報告されている治療に、鏡療法(ミラーセラピー)というものがあります。

これは、鏡を使用して、幻肢がある位置に反対側の身体の鏡像を写し、これを目で見ることで脳に幻肢から感覚情報が返ってくるサイクルが正常に働いていると錯覚をさせることで、幻肢痛を軽減させるというものです。

これをさらに進化させ、仮想現実(VR:バーチャルリアリティー)システムで、映像で幻肢を本当にある身体と認識させ、これを動かすことで多くの患者の幻肢痛が緩和されたという研究報告もされています。

 

なお、この治療では、筋肉がひきつるような運動感覚に関連した幻肢痛において効果を発揮しやすいことが報告されています。

このように、後遺障害の認定は細かく基準が決められているため、お怪我の状態に合わせて適切な検査結果をそろえて後遺障害の申請を行わなければ適切な後遺障害が認定されません。

そのため、後遺障害の申請は、お怪我の状態を正確に把握し、後遺障害診断書などの医学的資料を適切に把握できる弁護士が行うことが理想的です。

ところが、依頼する弁護士によっては、お怪我の状態やカルテ、診断書を正確に把握することができません。

ぜひ、後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

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