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交通事故の後遺障害について、医学の国家資格を持ち、専門知識を武器に交通事故被害者の味方となる弁護士が詳しく解説します。
ご存知ですか?
交通事故の後遺障害は、治療を受けていればそれだけで適切な認定を受けられるものではありません。被害者の側でしっかりと証拠を作っていかなければ、後遺障害が残っても等級が認定されないことが多々あります。
そのため、後遺障害が発生しそうな重症なお怪我を負われた場合、交通事故から早期に、交通事故と医療に詳しい弁護士にご相談される必要があります。
適切な後遺障害の認定がされなければ、その損害は数百万円から数千万円になることもあります。
適切な損害賠償を得るために、知っていただきたいことがあります。
ここでは、交通事故による橈骨の骨折と後遺障害について、東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける理学療法士かつ弁護士が、詳しく解説します。
橈骨(とうこつ)は、肘から手首までの間にある2本の骨のうち、親指側にある骨です。
肘関節の主な動きは上腕骨と尺骨で形作られていて、橈骨は主に手首を返す動きをする際に動く骨です。
橈骨ともう一つの骨である尺骨(しゃっこつ)は前腕骨間膜でつながれています。
橈骨と尺骨は肘の下で上橈尺関節を形作っていて、手首のすぐ上で下橈尺関節を形作っています。この2つの関節の動きによって、手首を返す動き(回内・回外)が可能になります。
手首では、肘とは逆に橈骨の方が広く関節の部分を占めています。
橈骨頭骨折は、橈骨の一番上の部分(骨頭・こっとう)の部分の骨折です。
交通事故では、事故の衝突によって転倒した際、肘を伸ばしたまま手をついたときに、橈骨と上腕骨がぶつかり、骨折が起こります。
折れてしまった骨の位置にずれ(転位)があるかないかで重症度が変わり、転位が大きいと手術によって折れた骨の位置を戻し(整復)、さらに鋼線、プレートやスクリューを使用して折れた骨と元の骨をつなげて固定します。
その後ギプスで肘を固定し、骨の癒合を確認していきます。ギプスが外れるまでは、肘関節は動かせませんから、腕を使わないことによって手や肩の動きまたは筋力が落ちないように、肘以外の部分の運動を行います。ギプスを外した後は、徐々に肘関節の動きを練習していきます。
橈骨の中央付近の骨折は前腕骨骨折といいます。
交通事故では直接腕への衝撃により骨折することにより発生する場合が主だと思われます。
骨折の程度によって、重症であればプレートでの固定をする手術を行い、骨の転位がなければ手術は行わずに固定を行います。
前腕(手首から肘までの部分)の骨折は、橈骨のみの骨折、橈骨と尺骨同時の骨折、尺骨のみの骨折の場合があります。
橈骨と尺骨はその上と下の部分で関節を形作っているので、上部と下位で近い部分の骨折が生じると、それぞれの関節にも損傷が生じることがあります。
橈骨の手首に近い部分の骨折を橈骨遠位端(えんいたん)骨折といいます。
これは交通事故の衝突で転倒した際に、手を地面についたときによく生じる骨折です。
手のひらを地面に向けて手をついた場合、折れた手首側の骨は手の甲側に移動し骨の位置がずれてしまいます。これをコーレス骨折といいます。
これとは逆に、手の甲側を地面につけた場合には、折れた骨が手のひら側に移動し位置がずれます。これをスミス骨折といいます。
折れた骨の位置のずれが大きい場合は手術でプレートやスクリューを使用して固定する手術をします。
骨の位置のずれがなければ、ギプスで固定します。
交通事故の後遺障害についての等級の審査は、医学の資格を持たない方によって行われることがほとんどです。そのため、後遺障害の申請をする側で、適切に等級が認定されるようにしっかりとした資料を準備する必要があります。
ところが、交通事故被害者の方は通常医学的知識がありませんし、弁護士も交通事故事件を担当することで少しずつ該当箇所の医学知識を学んでいくことになりますので、十分な医学知識を持った弁護士はほとんどいないというのが現状です。
医学知識がない状態で後遺障害の等級申請を行うと、必要な検査が足りなかったり、資料の誤記をそのままにして申請をしてしまったり、交通事故被害者の方の怪我の状態を正確に把握することができず、後遺障害に該当する部分についての資料を準備しないまま申請をしてしまうことがあり、後遺障害が適切に認定される可能性が下がってしまいます。
当法律事務所は、理学療法士という医学の国家資格を有する弁護士が事件を担当して、しっかりとお怪我の状態を把握した上で後遺障害の申請手続きを行いますので、このような心配はありません。
当法律事務所の弁護士は、理学療法士として病院で勤務していた際、後遺障害の診断書の検査の測定なども行っていますので、後遺障害の診断書の作成依頼や、完成した診断書の内容の把握が正確に行えます。
後遺障害の等級は、等級が適切に認定されるかどうかで交通事故の損害賠償の金額が数百万から1千万円以上変わるものです。
ぜひ、しっかりとした医学知識がある弁護士にご相談ください。
橈骨骨頭、骨幹部骨折では肘関節の運動障害が、骨幹部骨折と橈骨遠位端骨折では手関節の運動障害が発生する可能性があります。
(交通事故による後遺障害について、詳しくはこちらへ→後遺障害の基礎知識)
腕の機能障害について、該当する後遺障害の等級の判断基準は、以下のとおりです。
健側(怪我をしていない側)と比較して、患側(かんそく。怪我をした側)の関節可動域がどの程度あるかにより、等級の認定が判断されます。
第8級6号 | 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
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第10級10号 | 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第12級6号 | 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
一上肢とは、上肢の片側、つまり右側か左側かのいずれか一方の腕、という意味です。
腕の三大関節は、肩関節、肘関節、手関節を指します。
当法律事務所は、交通事故の被害者の方からのご相談をお受けしております。当法律事務所の特徴的な取り組みについて、詳しくはこちらへ→当事務所の後遺障害の申請
後遺障害 第8級6号:一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
後遺障害の基準となる「用を廃したもの」とは、関節がまったく動かないときを指します。
関節が動かないときとは、
・関節が強直したもの
強直とは、関節が固まって動かない状態を指します。
・関節完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの
自分で動かしたときに怪我をしていない側(健側)の10%程度以下しか動かせないもの
を指します。
後遺障害 第10級10号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
「機能に著しい障害を残すもの」とは、
怪我をしていない側(健側)の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
を指します。
肘関節の等級の基準となる可動域は、屈曲/伸展です。
例えば、怪我をしていない右肘関節の可動域が
屈曲:145度、伸展:5度
であれば、可動域は
145°+5°=150°
になります。
そして、怪我をした左肘関節の可動域が
屈曲:60度、伸展:0度
であれば、可動域は
60°+0°=60°
になります。
この場合、怪我をした肘関節の可動域60度が、怪我をしていない関節の可動域150度の1/2の角度である75度を下回っているので、肘関節の可動域角度が1/2以下に制限されているといえ、第10級10号に認定される可能性があります。
*等級の認定は事故の状況、怪我の程度、回復の状態等を踏まえて判断しますので、関節の角度が等級の判断基準に該当している場合でも必ず等級が認定されるわけではありません。
後遺障害 第12級6号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
後遺障害の基準となる「機能に障害を残すもの」とは、
怪我をしていない側(健側)の可動域角度の3/4以下に制限されているもの
を指します。
例えば、怪我をしていない右肘関節の可動域が
屈曲:145度、伸展:5度
であれば、可動域は
145°+5°=150°
になります。
そして、怪我をした左肘関節の可動域が
屈曲:100度、伸展:0度
であれば、可動域は
100°+0°=100°
になります。
この場合、怪我をした肘関節の可動域100度が、怪我をしていない関節の可動域150度の3/4の角度を下回っているので、肘関節の可動域角度が3/4以下に制限されているといえ、第12級6号に認定される可能性があります。
後遺障害 第8級6号:一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
後遺障害の基準となる「用を廃したもの」とは、関節がまったく動かないときを指します。
関節が動かないときとは、
・関節が強直したもの
強直とは、関節が固まって動かない状態を指します。
・関節完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの
自分で動かしたときに怪我をしていない側(健側)の10%程度以下しか動かせないもの
を指します。
後遺障害 第10級10号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
後遺障害の基準となる「機能に著しい障害を残すもの」とは、
怪我をしていない側(健側)の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
を指します。
手関節の等級の基準となる可動域は、屈曲(掌屈)/伸展(背屈)です。
例えば、怪我をしていない右手関節の可動域が
屈曲:90度、伸展:70度
であれば、可動域は
90°+70°=160°
になります。
そして、怪我をした左手関節の可動域が
屈曲:60度、伸展:10度
であれば、可動域は
60°+10°=70°
になります。
この場合、怪我をした手関節の可動域70度が、怪我をしていない関節の可動域160度の1/2の角度である80度を下回っているので、手関節の可動域角度が1/2以下に制限されているといえ、第10級10号に認定される可能性があります。
後遺障害 第12級6号:一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
後遺障害の基準となる「機能に障害を残すもの」とは、
怪我をしていない側(健側)の可動域角度の3/4以下に制限されているもの
を指します。
例えば、怪我をしていない右手関節の可動域が
屈曲:90度、伸展:70度
であれば、可動域は
90°+70°=160°
になります。
そして、怪我をした左手関節の可動域が
屈曲:60度、伸展:40度
であれば、可動域は
60°+40°=100°
になります。
この場合、怪我をした手関節の可動域100度が、怪我をしていない関節の可動域160度の3/4の角度120度を下回っているので、手関節の可動域角度が3/4以下に制限されているといえ、第12級6号に認定される可能性があります。
このように、後遺障害の認定は細かく基準が決められているため、お怪我の状態に合わせて適切な検査結果をそろえて後遺障害の申請を行わなければ適切な後遺障害が認定されません。
そのため、後遺障害の申請は、お怪我の状態を正確に把握し、後遺障害診断書などの医学的資料を適切に把握できる弁護士が行うことが理想的です。
ところが、依頼する弁護士によっては、お怪我の状態やカルテ、診断書を正確に把握することができません。
ぜひ、後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。