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交通事故の後遺障害について、医学の国家資格を持ち、専門知識を武器に交通事故被害者の味方となる弁護士が詳しく解説します。
ご存知ですか?
交通事故の後遺障害は、治療を受けていればそれだけで適切な認定を受けられるものではありません。被害者の側でしっかりと証拠を作っていかなければ、後遺障害が残っても等級が認定されないことが多々あります。
そのため、後遺障害が発生しそうな重症なお怪我を負われた場合、交通事故から早期に、交通事故と医療に詳しい弁護士にご相談される必要があります。
適切な後遺障害の認定がされなければ、その損害は数百万円から数千万円になることもあります。
適切な損害賠償を得るために、知っていただきたいことがあります。
ここでは、交通事故による大腿骨の骨折と後遺障害について、東京都千代田区において交通事故事件のご相談を多く受ける理学療法士かつ弁護士が、詳しく解説します。
大腿骨は、骨の上部の方の近位端、骨の幹の中央部分である骨幹部、下の膝に近い部分の遠位端で構成されています。
一番上の骨頭は丸くなっており、この球状の骨が骨盤の窪みにはまる形で股関節を作っています。股関節は関節が丸いために、他の関節と比較してかなり自由度の高い関節といえます。
通常は高齢者が転倒した際に、手をつくことが出来ず直接転倒の衝撃が大腿骨に伝わった際に生じる骨折です。交通事故で大腿骨頚部骨折が起こる場合は、二輪車や歩行中に事故に遭い、直接大腿骨が衝突の衝撃を受けた場合や、衝突後の転倒による衝撃を受けた場合に生じます。また、自動車乗車中であっても、重大事故の場合は、事故の衝突により乗車中の車体が損傷し、それに伴って座席が破損して骨折することもあります。
大腿骨頚部骨折の重症度は、骨折が骨の幅全体に及んでいるか、骨折した骨に移動があるかで判断されます。
骨折した骨は骨折部に新たな骨が形成されることで癒合しますが、これには血流が保たれていることが必要です。完全な頚部骨折が起こり、かつ、完全転位(骨折した骨の位置がずれること)が起こると、骨頭への血流が途絶え、壊死が起こることがあります。
そのため、最も重度な骨折の場合は、人工骨頭置換術が行われます。
人工骨頭置換術を施行した場合、特に術後は大腿骨の脱臼が起こりやすくなるため、注意が必要です。その一方で、荷重は早期に可能になるため、早期離床が図れます。
転位のない骨折や、整復(元の骨の位置に戻すこと)が可能な骨折の場合は、スクリューやピンを用いて固定術を行います。1週間以内に離床して、徐々に荷重を増やしていきます。
大腿骨骨幹部骨折は、大腿骨の幹の部分で起こる骨折です。交通事故で直接大腿部に衝撃を受けた際に起こることが多い骨折です。
この骨折に対しては、髄内釘や、プレートを利用した固定術が行われることが多くなります。
髄内固定が行われた場合には、骨折部に圧力をかけて治癒を促進するため、術後早期に荷重が開始されます。
これ以外の固定術では、爪先荷重から部分荷重まで加減し、徐々に荷重を増やしていきます。
大腿骨顆上骨折、顆部骨折
大腿骨の幹の部分よりも下の部分の骨折を、大腿骨顆上骨折、顆部骨折といいます。膝関節の上か、骨折が片側か、両側かで重症度が分類されます。
プレートとスクリューで固定する固定術が行われることが多くなります。
この骨折の場合には、数か月間免荷(めんか。体重をかけないこと)が行われ、徐々に荷重を増やしていきます。
交通事故の後遺障害についての等級の審査は、医学の資格を持たない方によって行われることがほとんどです。そのため、後遺障害の申請をする側で、適切に等級が認定されるようにしっかりとした資料を準備する必要があります。
ところが、交通事故被害者の方は通常医学的知識がありませんし、弁護士も交通事故事件を担当することで少しずつ該当箇所の医学知識を学んでいくことになりますので、十分な医学知識を持った弁護士はほとんどいないというのが現状です。
医学知識がない状態で後遺障害の等級申請を行うと、必要な検査が足りなかったり、資料の誤記をそのままにして申請をしてしまったり、交通事故被害者の方の怪我の状態を正確に把握することができず、後遺障害に該当する部分についての資料を準備しないまま申請をしてしまうことがあり、後遺障害が適切に認定される可能性が下がってしまいます。
当法律事務所は、理学療法士という医学の国家資格を有する弁護士が事件を担当して、しっかりとお怪我の状態を把握した上で後遺障害の申請手続きを行いますので、このような心配はありません。
当法律事務所の弁護士は、理学療法士として病院で勤務していた際、後遺障害の診断書の検査の測定なども行っていますので、後遺障害の診断書の作成依頼や、完成した診断書の内容の把握が正確に行えます。
後遺障害の等級は、等級が適切に認定されるかどうかで交通事故の損害賠償の金額が数百万から1千万円以上変わるものです。
ぜひ、しっかりとした医学知識がある弁護士にご相談ください。
交通事故の被害者が上記の怪我を負い、半年以上治療を継続しても障害が残った場合、後遺障害の等級の認定申請を行います。
後遺障害の種類としては、関節可動域に制限が発生する機能障害、骨の変形が生じる変形障害、骨が短くなる短縮障害があります。
交通事故の被害者が上記の怪我を負い、半年以上治療を継続しても障害が残った場合、後遺障害の等級の認定申請を行います。
(交通事故による後遺障害について、詳しくはこちらへ→後遺障害の基礎知識)
大腿骨の近位端または骨幹部の骨折であれば股関節の運動障害が、大腿骨の遠位端の骨折であれば膝関節の運動障害が問題となります。
運動障害の内容は、健側(けんそく。怪我をしていない側)と比較して、どの程度関節の運動が制限を受けているかで判断します。
股関節であれば外転と内転及び屈曲と伸展の関節可動域(関節が動く範囲の角度)を測定します。
該当する主な後遺障害の等級の判断基準は、以下のとおりです。
第8級7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
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第10級11号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第12級7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
一下肢とは、下肢の片側、つまり右側か左側かのいずれか一方の足、という意味です。
足の三大関節は、股関節、膝関節、足関節を指します。
当法律事務所は、交通事故の被害者の方からのご相談をお受けしております。(当法律事務所の特徴的な取り組みについて、詳しくはこちらへ→当事務所の後遺障害の申請)
後遺障害 第8級7号:一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
「用を廃したもの」とは、関節がまったく動かないときを指します。
関節が動かないときとは、
・関節が強直したもの…強直とは、関節が固まって動かない状態を指します。
・関節完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの…自分で動かしたときに怪我をしていない
側(健側)の10%程度以下しか動かせないもの
を指します。
後遺障害 第10級11号:一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
「機能に著しい障害を残すもの」とは、
怪我をしていない側(健側)の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
を指します。
股関節の等級の基準となる可動域は、屈曲/伸展と、外転/内転です。
例えば、怪我をしていない右股関節の可動域が
外転:40度、内転:20度
であれば、可動域は
40°+20°=60°
になります。
そして、怪我をした左股関節の可動域が
外転:20度、内転;5度
であれば、可動域は
20°+5°=25°
になります。
この場合、怪我をした股関節の可動域が、怪我をしていない関節の可動域60度の1/2の角度である30度を下回っているので、股関節の可動域角度が1/2以下に制限されているといえ、第10級11号に認定される可能性があります。
*等級の認定は事故の状況、怪我の程度、回復の状態等を踏まえて判断しますので、関節の角度が等級の判断基準に該当している場合でも必ず等級が認定されるわけではありません。
後遺障害 第12級7号:一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
「機能に障害を残すもの」とは、
怪我をしていない側(健側)の可動域角度の3/4以下に制限されているもの
を指します。
例えば、怪我をしていない右股関節の可動域が
外転:40度、内転:20度
であれば、可動域は
40°+20°=60°
になります。
そして、怪我をした左股関節の可動域が
外転:30度、内転;10度
であれば、可動域は
30°+10°=40°
になります。
この場合、怪我をした股関節の可動域が、怪我をしていない関節の可動域60度の3/4の角度である45度を下回っているので、股関節の可動域角度が3/4以下に制限されているといえ、第12級7号に認定される可能性があります。
後遺障害 第8級7号:一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
人工関節・人工骨頭をそう入置換した場合には、「用を廃したもの」の基準は、
股関節の可動域角度が1/2以下に制限されている場合
を指します。
股関節の等級の基準となる可動域は、屈曲/伸展と、外転/内転です。
例えば、左股関節を怪我して人工関節を挿入した場合、
怪我をしていない右股関節の可動域が
外転:40度、内転:20度
であれば、可動域は
40°+20°=60°
になります。
そして、怪我をした左股関節の可動域が
外転:20度、内転;5度
であれば、可動域は
20°+5°=25°
になります。
この場合、怪我をした股関節の可動域が、怪我をしていない関節の可動域60度の1/2の角度である30度を下回っているので、股関節の可動域角度が1/2以下に制限されているといえ、第8級7号に認定される可能性があります。
*等級の認定は事故の状況、怪我の程度、回復の状態等を踏まえて判断しますので、関節の角度が等級の判断基準に該当している場合でも必ず等級が認定されるわけではありません。
後遺障害 第10級11号:一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
人工関節・人工骨頭をそう入置換した場合には、「著しい障害を残すもの」の基準は、
股関節の関節可動域角度が健側の可動域角度の1/2以下に制限されていない場合
を指します。
つまり、人工関節・人工骨頭をそう入置換した場合には、可動域角度の1/2以下の制限があれば第8級7号に、可動域の制限がなければ第10級11号に認定されることになります。
大腿骨の変形障害の基準は、以下のとおりです。
第7級10号 | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
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第8級9号 | 1下肢に偽関節を残すもの |
第12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
それぞれの等級について、みていきましょう。
後遺障害 第7級10号:1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
本来、人体の骨は、血流が正常に保たれていれば少しずつ新しい骨に入れ替わっていき、1年に全体の骨の10%が入れ替わり、10年間ですべての骨が新しく生まれ変わるというサイクルを行っています。
これが、骨折が起こった場合は、血流が保たれていれば、
① 骨折部周囲に結手が出来、その後血管が多くある肉芽が作られる
② 繊維軟骨でできている仮骨ができる
③ 軟骨が硬く変化していく
④ 軟骨が解体され新しい骨が生まれる
⑤ 骨の層が元の状態まで戻るまで再生が続く
という変化が起こり新たな骨の形成がされます。このとき作られる骨は強固なもので、若い人の骨であれば骨折以前よりも丈夫になるといわれています。
ところが、骨折部の血流が破綻してしまって栄養が途絶えてしまったり、骨折の形が複雑で再生がうまくいかなかったりすると、骨折部分の新たな骨の再生が起こらず、骨と骨がくっつかなくなってしまいます。
骨折部の骨の再生はずっとされるものではなく、適切な回復期間に骨の再生がなされなければ、それ以降骨折部に新たな骨はできず、骨と骨が離れたままの状態になってしまいます。
そして、その骨と骨の隙間が関節のようになり、本来動かないはずの骨折部分が関節のように動いてしまう状態を、「偽関節(ぎかんせつ)」といいます。
第7級10号の基準の偽関節は、この偽関節が細長い骨の中央の幹の部分に起こることをいいます。
また、「著しい運動障害」とは、常に硬性補装具を必要とするもの、つまり支柱のある硬い装具を常に装着しなければならない状態を指します。
大腿骨の中央(骨幹)部分に偽関節があるもので、常に硬性補装具は必要としないものが該当します。
長管骨とは、細長い骨を指します。ここでは大腿骨です。
「変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
短縮障害は、以下の基準に該当するものをいいます。
第8級5号 | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
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第10級8号 | 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
第13級8号 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
下肢の長さは、骨盤の上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)と下腿内果下端の間の長さで測ります。
上前腸骨棘とは、骨盤の前、左右にある出っ張りのことで、服を着たままでも骨盤を触ると確認できます。
ここから、脛骨の一番下の出っ張り(内果)までを測ることで下肢長が測れます。
下肢の短縮は、レントゲン画像上の長さを確認することが必要になります。
このように、後遺障害の認定は細かく基準が決められているため、お怪我の状態に合わせて適切な検査結果をそろえて後遺障害の申請を行わなければ適切な後遺障害が認定されません。
そのため、後遺障害の申請は、お怪我の状態を正確に把握し、後遺障害診断書などの医学的資料を適切に把握できる弁護士が行うことが理想的です。
ところが、依頼する弁護士によっては、お怪我の状態やカルテ、診断書を正確に把握することができません。
ぜひ、後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。