時期別の交通事故の基礎知識ー裁判

交通事故の裁判の進み方

交通事故の示談交渉がまとまらなかった場合、多くの場合は裁判になります。

裁判の進み方は一般の方にはとてもわかりにくいものです。ここでは、裁判の進み方、その内容について、東京都千代田区において交通事故事件を多く取り扱っており、医療の国家資格を有する弁護士が詳しく解説します(当法律事務所の弁護士の経歴はこちらへ)。

目次

訴えの提起

交通事故の損害賠償請求を裁判で行う場合、基本的には交通事故の被害者から加害者に対して裁判を起こします。これを訴えの提起といいます。

また、交通事故の被害者と加害者が双方損害を負った場合で、被害者側にも交通事故が起こったことについての責任(過失)がある場合には、加害者から被害者に対して損害賠償請求の訴えの提起がされることもあります。

訴えの提起は通常依頼を受けた弁護士が、訴状という書面を裁判所に提出します。

訴状には、請求する金額の理由と内訳を記載し、証拠を添付します。

具体的には、交通事故が起こった日時、場所、当事者、車両などを特定し、これにより被害者が怪我を負ったこと、それにより損害を負ったことを記載していきます。

損害には、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料などがあり、交通事故の怪我で後遺障害が認められた場合には、後遺障害についての慰謝料、逸失利益(怪我により所得が減ったことによる損失)があります。

訴状に添付する証拠としては、交通事故の概要を証明する事故証明書、治療費などの証明のために診断書、診療報酬明細書、休業損害を証明するための休業損害証明書、後遺障害を証明するための認定票(保険会社からの等級の通知)などがあります。

これらの証拠を添付した訴状を管轄の裁判所へ提出して受付されると、交通事故の相手方に対して訴状と証拠が送付され、裁判(正確には訴訟といいます。)が開始されます。

なお、訴えの提起を行うためには、その請求金額に応じて収入印紙を貼付する必要があります。おおよそ数万円の印紙代がかかるのが通常です。

裁判には書面の書き方や証拠の提出方法など様々なルールがあるので、弁護士が代理人となることが通常です。

期日の進め方

訴状は交通事故の加害者本人に送付されますが、通常加害者は保険会社と保険契約を締結しているので、加害者の代理人となるのは保険会社から依頼を受けた弁護士になります。

裁判所の書記官の方が双方の弁護士の予定を聞き、約1か月後に第一回口頭弁論期日が決まります。

第一回の期日では、多くの場合相手方の弁護士はそれまで当該交通事故事件の代理人をしていませんから、どのような交通事故でどのような請求がされ、どのような証拠が出されているのかを確認しなければなりません。

そのため、1回目の期日では、請求された金額を否定だけして、詳しくは次回期日までに主張する、という流れになります。

よって、裁判が本格的に始まるのは第2回の期日からとなります。

交通事故に限らず、裁判は1か月に1期日行われるのが通常です。これは、相手方の主張、証拠について弁護士が確認、検討した上、こちらの反論についての証拠を集め、書面を作るために一定程度時間がかかるためです。

そのため、約1か月ごとに、原告、被告と主張、反論が行われていきます

裁判の期日では、主張を行う当事者の弁護士が書類、証拠を提出し、「書面のとおり陳述します」と発言することがほとんどです。

これは、様々な主張と反論を期日において口頭で行うと、かなりの時間がかかり、理解をすることも困難なためです。

2回の期日では、加害者側の弁護士が認否を行います。

 

認否とは、被害者側が主張している事実や損害の主張について、加害者が認めるか、争うかの確認です。

裁判における主張、反論

交通事故の場合は、交通事故が起こったことなどは警察の交通事故の調査により確定されていますから、事実としては認める、しかし請求の金額を争う、という流れになることが多くなります。

交通事故の損害賠償で問題となるのは、治療期間、休業損害、後遺障害の有無・等級、逸失利益になることがほとんどです。

 

これらの争点について、双方弁護士が主張を行っていきます。

交通事故の裁判に特徴的なものとして、カルテの取得があります。加害者側弁護士からの請求でカルテ・画像が開示された後、そのカルテ・画像を基に保険会社の顧問医が意見書を提出することになります。この意見書は保険会社が雇っている医師の作成するものですから、当然保険会社に有利なものとなります。

これに対して、被害者側弁護士は新たな証拠を提出し、反論を行います。

弁護士が提出する証拠として、被害者側も医師に依頼して意見書を作成することがありますが、これには10万円を超す費用がかかることも多く、交通事故の被害によって金銭的に苦しい立場にある被害者にとっては大変な負担となります。

しかも、保険会社側は資本力があるので、何度でも意見書を作成、提出することが可能であるのに対して、被害者側の意見書の作成は1回ごとに高額の費用がかかるので、弁護士としては何度も意見書の作成を行うわけにはいきません。

そのため、交通事故の被害者側の弁護士は、高度の医療知識を基に、適切な時期に適切な内容の意見書を医師に依頼しなければならないのです。

交通事故の裁判を被害者側が行うためには、医療知識に詳しい弁護士に依頼をすることが重要になります。

その点、当事務所の弁護士は、医療の国家資格を有しているため、多くの弁護士の中でも突出した知識を有しています詳しくはこちらへ→当事務所の弁護士が弁護士の中でも圧倒的な知識をもつ理由

 

また、交通事故の発生についての責任(過失)について争いがある場合は、被害者、加害者がそれぞれ裁判官の前で当時の交通事故の発生状況などについて質問をされる機会があることがあります。これを尋問といいます。

和解

交通事故の被害者側、加害者側の双方の弁護士が主張と証拠を出し尽くしたタイミングで、通常裁判官から和解案が出されます

民事訴訟の場合、当事者同士が納得をすればいつでも和解をして裁判を終わらせることができます。そして、当事者同士の納得が得られることが最良の結果であるとともに、判決を書くためには非常に多くの時間がかかりますから、ほとんどの民事訴訟は和解で終了するのが現状です。

裁判官から出される和解案は、それまでの主張と証拠を踏まえた案になるので、その案で和解をしなかったとしても判決の内容はそれほど違いがあるものではありません。

そのため、裁判官の出した和解案は、弁護士、保険会社としても重視せざるを得ません。

双方和解に納得した場合、和解が成立します。

判決

和解が成立しなかった場合、双方の弁護士として主張を行う事項がなくなっていれば、判決期日になります。

判決に不服がある場合、双方の当事者は一定の期日内であれば控訴することが可能です。

損害賠償金の支払い

交通事故の損害賠償の場合、加害者が保険に加入していた場合には支払いを行うのは多くの場合保険会社ですから、その場合は和解を行ったのに相手方から支払いが受けられないということは考えられません。

和解条項にもよりますが、多くの場合和解期日から約1か月以内に、損害賠償金の支払いが行われます。

被害者側の弁護士が損害賠償金の支払いを確認し、弁護士費用の精算が終われば、交通事故事件の終了となります。

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