時期別の交通事故の基礎知識ー裁判(訴訟)

交通事故の示談以外の解決方法

交通事故(人身事故)について加害者側(保険、共済契約があることを前提としています。)と示談できなかった場合に、被害者側は事件の解決のためにとれる手段が大きく分けて3つあります。

ここでは、その3つの方法について、東京都千代田区において交通事故事件を多く取り扱っており、医療の国家資格を有する弁護士が詳しく解説します(当法律事務所の弁護士の経歴はこちらへ)。

目次

示談以外の解決方法の種類

被害者側がとれる方法は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 公益財団法人 交通事故紛争処理センター
  • 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター
  • 裁判所における裁判(訴訟)

これらの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

以下、1つずつ紹介していきます。

公益財団法人 交通事故紛争処理センター

交通事故紛争処理センターは、自動車事故による損害賠償に関する法律相談、和解あっ旋及び審査業務を行っています。

交通事故の示談が成立しなかったときに被害者が利用するのはこの和解あっ旋です。

被害者はセンターに無料で和解あっ旋の申立てができます

センターでは担当の弁護士が事件を担当し、保険会社等(保険会社、共済等)と被害者の和解を目指して話し合いをしていきます。

話し合いで解決しない場合、当事者は14日以内に審査の申立てをすることができ、申立てがあれば審査会が審査、裁定を行います

被害者側である申立人はこの裁定に従う必要はありません(裁定に同意した場合のみ和解が成立する)が、保険会社等は審査会の裁定を尊重することになっていますから、被害者側が審査会の裁定に同意した場合はその内容で和解が成立します。

訴訟に比べれば、センターでの申し込みから和解の成立までの期間は短いといえます。

多くの事件が数か月での解決となっています。

ただし、以下のような場合はセンターで和解のあっ旋をおこなうことがふさわしくないため、保険会社等から訴訟移行の要請が出されてそれが適当と考えられる場合には、審査会での裁定は行われません

  • 交通事故発生の過失の割合について双方の主張に隔たりがある場合
  • 交通事故とけがの発生の因果関係に争いがある場合
  • 後遺障害の障害の程度(等級)に争いがある場合 など

このような場合は、交通事故の当事者の主張と証拠をしっかりと出し合って争う必要があるため、訴訟で解決することがふさわしいと考えられるのです。

 

なお、被害者側が弁護士に依頼をしていた場合であってもセンターの和解あっ旋を利用することができます。

公益財団法人 日弁連交通事故相談センター

交通事故紛争処理センターと同じように、無料で弁護士が交通事故被害の相談、示談あっ旋を行います。

被害者側が弁護士に依頼していない状態で示談あっ旋の申込を行いたい場合は、まずはセンターの相談所で面接相談を行い、センターの担当弁護士が示談あっ旋を行うことが可能な交通事故事件かどうかを判断し、示談あっ旋を行うことが可能な場合に示談あっ旋の申込を行います。

示談あっ旋で和解が成立するまでの期間は数か月間が多く、訴訟と比べれば短い期間での解決が期待できます。

和解が成立しなかった場合は、以下の9共済が交通事故の加害者側である場合には審査の申立てが可能です。

  1. 全労災(全国労働共済生活協同組合連合会)の「マイカー共済」
  2. 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)の「自動車共済」
  3. JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)の「自動車共済」
  4. 自治協会(全国自治協会)・町村生協(全国町村職員生活協同組合)の「自動車共済」
  5. 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)の「自動車共済」
  6. 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)の「自動車共済」
  7. 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)の「自動車共済」
  8. 交協連(全国トラック交通共済協同組合連合会)の「自動車共済」
  9. 全自共(全国自動車共済協同組合連合会)の「自動車共済」、全自共と日火連(全日本火災共済協同組合連合会)の「自動車総合共済MAP(共同元受)」

 

この審査意見に被害者側が同意した場合は、相手方の共済はこの意見を尊重することになっているので、示談成立書が作成されます。

裁判所における裁判(訴訟)

被害者側は、加害者本人に対して交通事故で発生した損害について損害賠償の支払いを求める裁判を行うことができます。

メリットは、相手方が加入している保険会社にかかわらず、和解や判決の結果に強制力があること、示談あっ旋の手続きと比較して多くの証拠に基づいた主張を行うため、最終的な判断を行う際により詳細に内容を検討されることがあります。

一方のデメリットは、非常に長い期間がかかるのが通常であることです。訴訟の開始から解決までには、早くて半年、長い場合には1年以上の期間がかかります。

また、裁判を行う場合は、個人の方が裁判の書類を書いたり証拠を揃えたりすることがかなり難しいため、弁護士に依頼する必要があり、費用がかかります。もっとも、和解や判決の内容としては一定の金額が弁護士費用として認められることが通常ですので、すべての弁護士費用を自己負担する必要はありません。

交通事故の事件における解決方法の選択

上記のとおり、3つの解決方法にはそれぞれデメリット、メリットがあります。

もし被害者の方が弁護士に依頼していない場合は、交通事故紛争処理センターと日弁連交通事故相談センターが選択肢になるかと思います。

そして、どちらの方法をとるかは、交通事故の加害者が加入している保険(共済)がどこかによって、示談が成立しなかった場合に審査に移行してその結果に強制力があるかによって決まります。

もっとも、交通事故の過失、後遺障害の等級などの損害賠償の金額を判断する主要な部分に争いがある場合には、結局裁判で争うことになると思われるので、この2つの手段をとるよりもまずは弁護士に相談されることをお勧めします。

そして、すでに弁護士に依頼している場合は、これらの3つの手段のどれでも選択することが可能です。しかし、弁護士に依頼している場合は、通常示談交渉が決裂しているため、裁判以外の方法で示談が成立する可能性は通常よりは低くなります。

 

もっとも、審査によって被害者側に有利な結果が見込まれる場合は、裁判よりも短い期間で結論がでる2つの方法も選択肢になりますので、その交通事故事件がどのような交渉経過をたどっているのかによって、第一の選択肢が何になるのかを考えていきます。

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